くらし

落語家の登場曲、“出囃子”を解説。│柳家三三「きょうも落語日和」

  • イラストレーション・勝田 文

落語家が高座にあがるときに大事にするもののひとつ、それが“出囃子”です。三味線・太鼓(笛や鉦が入る場合も)の音に乗って高座袖から座布団に座りお辞儀するまで、気分よく登場できるのはお客様の拍手とともにこの出囃子に大きな力をいただいております。

東京・大阪で八百人程いる(らしい)落語家は、前座以外ひとりひとりの出囃子が違う曲なのをご存知ですか? 有名なところで五代目古今亭志ん生師匠の「一丁入り」、三代目春風亭柳好師匠の「梅は咲いたか」などは、その登場する姿とともに語られることも多いようです。そして何といっても「野崎の送り」という出囃子。東京では八代目桂文楽師匠、大阪では三代目桂春団治師匠という東西の「完璧」と称されるお二人の名人の使う曲という偶然は面白いものです。

長唄から端唄・民謡までの幅広い邦楽だけでなく西洋音階の音楽までさまざまな、いやありとあらゆる曲を三味線で弾いてしまうのが寄席の高座袖でずっと“縁の下の力持ち”でいてくれるお囃子さん。われわれは親しみと尊敬をこめて「お師匠さん」、発音すると「おしょさん」と呼んでいます。開演から終演まで、ずっと袖で高座を見続けてウン十年というお師匠さんに「あんた近頃面白くなったね」なんて言ってもらえると、そりゃ嬉しいもの。何しろ耳は肥えているんですから。昔の名人上手もじっと聞いてきた人が横で聞いてるってのは緊張もします、ある意味落語家の先輩に聞かれるよりも。それだけにお師匠さんの“面白いよ”の笑顔は最高の「落語日和」のプレゼントなんです、若手には。

柳家三三(やなぎや・さんざ)●落語家。公演情報等は下記にて。
http://www.yanagiya-sanza.com

『クロワッサン』990号より

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