ウクレレをのんびりとつま弾きながら、自虐的なぼやきネタを優しい笑いに昇華させて話す漫談家のぴろきさん。ゆるキャラのような風貌と、オチのあとの「ひぃひぃひぃ!」というひきつった笑い、そしてシメの「明るく陽気にいきましょう」という脱力したような歌がなんとも味があり、今では若い女性にもウケている。
そんなぴろきさんが定番にしている手みやげは、修業時代から通っている東京・田原町の喫茶店『寿花(ことぶき)』のミックスサンド。
「昔っからずっと変わらず、薄焼きたまごとハムのサンド、きゅうりとトマトの野菜サンドの組み合わせなんですけど、マヨネーズの塩梅が絶妙でねぇ。多すぎず少なすぎず、野菜やたまごの味を引き立てているんですね。生ものだから遠方には持っていけなくて、浅草の寄席への楽屋見舞い限定ですけど、たくさん持っていっても一瞬でなくなっちゃう。みんな、今まで食べたサンドイッチの中で一番旨いって言ってくれるんです」
若い頃に何げなく入った寿花は、たまたま師匠や兄弟子が出入りしない店で、ゆっくりとネタを考えたりできるのがよかったのだそう。以来、通い詰めること35年。ここで人間観察をしているうちにアイデアがひらめくこともある。
「初めて行った時にミックスサンドとナポリタンを食べて、お母さんが作る家庭の味にハマっちゃいました。作りたてで真心がこもっていて。サンドイッチはどこにでもあるけど、ここのを手みやげに持っていくのは僕だけ。お母さんが心をこめて作ってくれたものを、僕が心をこめて持っていく感じです」
今はなんでもネットで手に入るけれど、それじゃぁ味気がないとぴろきさん。
「寿花のミックスサンドは、35年以上変わらぬ味で、必ず期待に応えてくれるし、手みやげにしても絶対はずさない。僕も、そんな芸人になりたい。ひぃひぃひぃ!」