【庭を楽しむ 平井かずみさん】自然のままを受け入れる、庭も花生けも同じです。【後編】
5月にはバラ、6月にはアジサイ。花と緑が調和する小さな庭が、花生けについて教えてくれること。
撮影・徳永 彩
平井さんが実践する、手をかけずに庭を楽しむ工夫を教えてもらった。
「手入れが楽な庭木はおすすめ。うちの場合はジューンベリーやアメリカハナズオウなど丈夫なものを植えています。草花は、一年草ではなく、数年にわたって花を咲かせる宿根草を選ぶといいと思います。今この庭にあるのも宿根のものが多く、春に咲くミヤコワスレやスミレ、夏のメドーセージ、秋のユーパトリウムなど。毎年植え替える手間がいらないし、『今年も芽吹いてくれた』という喜びを感じられます」
自分に無理をしない範囲で、庭と向き合う。そして、草花を摘んで生けたり、ハーブを料理に使ったりと、趣味や仕事という以上に、庭は生活の一部として当たり前のようにそこにあるもの。今はそんな距離感がちょうどいい。
「朝日が昇る前の庭に出ると、心地いい静寂に包まれて、時間の流れがゆっくりに感じられるんです。“庭時間”っていうのかな。慌ただしい日々を生きているからこそ、植物たちの力に、いつも救われています」
ベランダのハーブは、料理やキッチンの彩りに。
平井かずみ(ひらい・かずみ)●フラワースタイリスト。ikanika主宰。東京・自由が丘の『caféイカニカ』を拠点に、全国でワークショップを開催。著書に『あなたの暮らしに似合う花』など。
『クロワッサン』974号より
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