【買ってよかったもの】大切な人とごはんを食べたくなる漫画、『きのう何食べた？』。

クロワッサンオンラインのメンバーによる「買ってよかったもの」シリーズ。今回は、漫画家よしながふみさんの著書『きのう何食べた？』をご紹介します。

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グルメ漫画ブームの今。ドラマも人気の『孤独のグルメ』、ズボラ飯ブームを起こした『花のズボラ飯』、朝食ブームの火付け役『いつかティファニーで朝食を』、父と娘が料理を通じて心を通わす『甘々と稲妻』などなど。大好きなグルメ・料理漫画がいくつもあります。

これを書くために本棚を漁っていたら、グルメ漫画がたくさん発掘されたので、おすすめの漫画置いておきます。

が、しかし。私の中でベストオブ・グルメ・料理漫画は、よしながふみさんの著書『きのう何食べた？』です。
もともとよしながふみさんの漫画の大ファンで、『大奥』、『西洋骨董洋菓子店』、『フラワーオブライフ』、『愛すべき娘たち』など、ほぼ全作を読破するほど大好き。『きのう何食べた？』は1巻の発売と同時にどハマりしました。

よしながふみさんのグルメ漫画と言ったら、「愛がなくても喰ってゆけます。」ここに掲載されているレストランのいくつかに行きました。

ドラマからハマッた方、どちらも見ていないけど気になっている方へ、原作を熱くおすすめさせていただきます。

同棲中のゲイカップル、弁護士の筧史郎（連載開始時43歳）と美容師の矢吹賢二（連載開始時41歳）の日々の食卓と日常を描いた作品です。

主に料理担当の筧史郎（シロさん）が倹約家なので、昆布などから出汁を取らず、めんつゆや顆粒出汁を多用して料理を作るんです。しかも分量をつぶやきながら作ってくれるので、マネしやすく、そして美味しそう。

さらには恋人の矢吹賢二（ケンジ）から、「副菜の鬼」と呼ばれていまして、漫画に出てくる献立は基本的に一汁三菜。甘・辛・酸っぱいのバランスを考えて組み立てられていて、ものすごく参考になります。
11巻では、『一汁三菜の献立の時は「少なくとも二品はノンオイルルール」』という独自のルールを披露し、職場の人に細かすぎる、とドン引きされていましたが。

クロワッサン読者へのおすすめポイントは、作中に出てくるレシピのバリエーション！

普段ご飯だけではなく、夏休みのブランチや、お花見のお弁当、大人数のパーティ料理、手作りおやつ、ドラマでも描かれたサッポロ一番（塩）アレンジレシピ、クリスマスの特別レシピ、などなど。「クロワッサン読者のための漫画なのでは……？」と錯覚してしまうほど多彩なレシピの数々。
周りの友人たちも『何食べ』レシピを参考にご飯を作っている人が続出です。

脊髄反射でレシピ集も購入♡ 漫画はもっとたくさんのレシピが掲載されてます。きのう何食べた？展のチケットもGET済みです。

『食卓』がメインテーマですが、主人公たちの日常の描き方も絶妙。ゲイと家族の関わり方、親子問題、新婚カップルの子ども問題など、デリケートな事柄も扱っています。
よしながふみさんは、登場人物の心の機微を丁寧に描く方。読者の感情を揺さぶるセリフやコマ使いにいつも振り回されっぱなし。

特に7巻のシロさんの実家にケンジが訪れた回。実家からの帰宅途中にケンジがポロッと本音をこぼした告白のシーンがあまりに心震えて、電車の中で隣の人にガン見されながら嗚咽を漏らして泣いてしまいました。

ひとり暮らしなもので、自分のためだけに料理をするのって億劫。料理を作っても食べるのは自分だけなので、いつの頃からか凝った料理はあまり作らなくなりました。

でも『きのう何食べた？』を読んでいると、大切な人に夕飯を作り、それを食べながら、何気ない会話を交わす。食事だけでなく1日の出来事も消化しているふたりの姿をみていると、自分の大切な人……家族や友人、恋人のために食事を作ったり、作ってもらったりしながら、大切な人と毎日の食卓を囲むことに憧れを抱いてしまうのです。