くらし

クローゼットの限られた空間を、余さず活用するテクニック。

奥のほうで眠ったままの服や形崩れした小物類……。発想を転換することで、スッキリ機能的なクローゼットを簡単に実現できます。
  • 撮影・岡本 潔 文・一澤ひらり 撮影協力・平安伸銅工業、シンコハンガー、テンネット、天馬 イラストレーション・安ケ平正哉

工夫してムダな空間をなくし、クローゼットを「見える化」。

夫婦で共用することの多い寝室のクローゼット。作り付けの一般的なものは折れ戸が多く、中にハンガーパイプが1本渡してあり、その上に枕棚が付いている。歳月を重ねるにつれ夫婦の服が限られた空間の中で静かに主張し合い、せめぎ合って、気がつけばゴチャゴチャのお手上げ状態に。

「クローゼットはハンガーパイプに洋服を掛けて、枕棚の上には不要なものを置くという、上下だけを意識した平面的な収納になりがちです。それでは奥行きが生かされず、空間にムダが多過ぎます。もっと機能的にスペースを利用できる方法を考えましょう」
と提案するのは住まい方アドバイザーの近藤典子さん。ポイントはクローゼットを「4つのスペース」に分割して考えることだという。そこで今回、空間をムダなく有効活用してスッキリと服や小物を収納するクローゼットの作り方を、モデルケース(下写真)と共に解説してもらった。

空間を最大限に活用したクローゼット。

「これは幅が180cm前後の標準サイズのクローゼットを、夫婦でシェアしている基本パターン。コートからトップス、ボトムス、バッグや小物など、あらゆるアイテムが収まっています」

ハンガーパイプには余裕を持って、全54着のトップスやコートがアイテム別に掛けられ、左側が妻用、右側が夫用に分けられている。トップスの下には新たに手製のハンガーパイプを加え、スカートやスラックスを掛けられるようにした。両サイドはワイヤーネットを用いて、右側にはネクタイやストールなどの小物類、左側には夫婦のコートやワンピースなどの長ものを掛け、その下のワイヤー棚に取り出す頻度の高い部屋着などを置いた。上部の枕棚にはシーズンオフのものを。すき間を見逃さず、合理的な収納を追求した。

洋服は「掛ける」を優先。ハンガーパイプは2段使いで。

クローゼットを立体的に捉えるのが、活用のカギ。正面手前と奥、両サイド、枕棚の上、4つのゾーンに分けるとクローゼットの見え方がガラリと変わる。
枕棚より下の部分を上から見た図。手前に折れ戸、真ん中にハンガーパイプがあり、壁際が「正面奥」のスペースとなる。
クローゼットを立体的に捉えるのが、活用のカギ。正面手前と奥、両サイド、枕棚の上、4つのゾーンに分けるとクローゼットの見え方がガラリと変わる。
枕棚より下の部分を上から見た図。手前に折れ戸、真ん中にハンガーパイプがあり、壁際が「正面奥」のスペースとなる。

クローゼットは、正面手前、正面奥、両サイド、上部(枕棚)、この4つの空間に分けて、それぞれの特徴を生かして収納しています」

4つの空間のうちまず目がいくのは正面手前、つまりハンガーパイプに掛けられた夫婦の丈の長い洋服だ(1)
「洋服は立体裁断が多いので、形崩れやシワを防ぐために3cm前後の厚みがあるハンガーに掛けて吊るすのが基本。それを人別、アイテム別、シーズン別の順に分類して、それぞれの指定席を決めるとスマートに収まります」

トップスは男性だとハンガーの頭から裾まで最長1m、女性だと90cm。その下には80cm前後の空間ができる。
「ここにハンガーパイプを追加すれば、ボトムスを吊るすスペースが生まれます(2)。メインのハンガーパイプはトップスでまとめられ、洋服の長さが揃っているので下部を使えて、収納量もアップしますよね」

さらに、折れ戸にかからないように中央下部のスペースにキャスター付きの引き出しケースを置く(3)。ここにはトレーナーなどオンシーズンの畳んでしまえる衣類を収納する。
「クローゼットはほこりが溜まりやすく、折れ戸を開閉するたびにほこりが舞い上がってしまいます。キャスター付きの引き出しケースなら出し入れが簡単で掃除しやすいので、洋服にほこりがかかるリスクを減少できるんです」

常に目視できる正面手前とは逆に、目が届きにくいのが正面奥の空間。ゆえにデッドスペースになりがちだ。
「洋服の幅はメンズもので55〜60cm。クローゼットの奥行きはそれより少しゆとりをもたせた70cm前後が一般的なんですね。このわずかなスペースを利用しない手はありません。奥の壁際につっぱり棒を渡して冠婚葬祭用の礼服を掛け、イザというときにすぐ取り出せるようにしておくといいんですよ(4)

折れ戸の重なりをムダにせず、サングラスなど小物類の置き場に。

クローゼットの折れ戸の弱点は、開けたとき戸の厚みが邪魔をして両サイドの物の出し入れがしにくく、使いづらいということがある。
「発想を転換すれば、折れ戸の重なる側面はストール、手袋など、小物の指定席にちょうどいいんです。ここで活躍するのが100円ショップで買えるワイヤーネット。取り付ければ壁面が立派な収納場所になります」
右サイドの壁面にネットを取り付け、フックやカゴなどを掛けて小物を収納(5)。また左サイドの下にはネットを組み立てたワイヤー棚を設置し、パーカなど年中使う普段着の置き場所に(6)
「有効に使いたい4つ目のスペースはクローゼットの上部、枕棚です。ここはシーズンオフの衣類や小物、布団などの休眠場所に利用しましょう」

中央には引き出しケースを2つ並べて、シーズンオフの服を収納した(7)
「このケースをハンガーパイプ下に置くケースと同じものにすれば、上下の引き出しを差し替えるだけで衣替えが終わってしまうんですよ」
その横にワイヤーネットで仕切りを作り、バッグや洗濯ネットを使ってコンパクトに畳んだダウンジャケットなどの保管場所に。布団も収納袋を使ってピッチリ収納できる(8)
クローゼットで大切なのは『見える化』です。ここはしまい込む場所ではなくて、使うための収納場所。一目見てわかるよう、掛けて並べることを一番に考えつつ、限られたスペースを余すことなく機能的に使いきりましょう。工夫しがいがありますよ」

住まい方アドバイザー 近藤典子さん
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