くらし

捨てられないのは、もしや……「ためこみ症」とは何ですか?

  • 撮影・岩本慶三 文・石飛カノ

Q どんな人がためこみ症になりやすい?

カナダの学術誌で報告されたためこみ症患者の調査では、20歳以下ですでに病気の兆候があったとされる人が全体の44%以上。 Grisham, Frost, Steketee, Kim, & Hood (2006). Journal of Anxiety Disorders, 20, 675-686

ためこみ症は、ただ単純に物を買い込み、捨てられず整理できないという病気ではない。実は、子どもの頃のエピソードに原因があることもある。
物が象徴している思い出に執着する傾向があります。たとえば、子どもの頃にアルミ缶でアート作品を作ったときにすごく褒められて、それ以降、アルミ缶と見れば拾ってくる……。そこには“こだわり”や“とらわれ”が見られます。彼らはその物を捨てることで自分の腕を切り取られるような感覚に陥ってしまいます」

そんなためこみ症の人に“振り返り調査”をしてみると、その発症年齢は20歳以下が多いのだという。
「子どもの頃は親の管理下にあるので、いわゆる“ゴミ屋敷状態”にはなりません。問題が出てくるのはお金を自由に使えるようになったり、一人暮らしをするようになってからで、専門的支援を受けるのはかなり後。何十年もためこみ生活を送っています。でも、調査では早い時期から整理整頓が苦手で、物を捨てにくい傾向がありました

さらに、子どもの頃に親子関係がうまくいかなかったり、人生のどこかでトラウマ体験をすることが発症のきっかけになる場合もある。
また、ためこみ症の半分くらいの人がうつ病を併発しているが、自ら訴える人は多くないので、発覚しないことも多い。

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