「支える」とは、相手の人生の “名脇役”になること──森田泰子さん 地域で支え合う仲間づくり(2)
撮影・村上未知 構成&文・殿井悠子
植物療法士・森田敦子さんの母、泰子さんは、60歳で教員を退職したとき、これからの人生について心に決めたことがあった。
「子どもを育てている頃は教員の仕事が忙しくて、ほとんど手をかけられませんでした。主人にもずいぶん助けてもらった。だから退職してからは、主人や子どもたちへの“恩返しの人生”にしようと思ったんです」
その頃、敦子さんはフランスで植物療法を学び、日本で活動を始めたばかり。娘が何をしようとしているのか、泰子さんには「口に出さなくても、だいたい伝わった」という。
敦子さんから「スギナやヨモギを送って」と頼まれれば、採取した植物を洗い、乾燥させて送った。やがて自宅の庭に小さなラボをつくり、研究材料となる植物を準備するように。アシュワガンダなどを育てる際には、よりよい土を求めて地質を調べ、幼なじみの農家にも協力を頼んだ。
「アシュワガンダを育てたことは、一番の子ども孝行だったかもしれませんね(笑)」
現在、自宅の2階には、敦子さんが開設した「ブランマグノリア訪問看護ステーション豊橋」がある。ここでは、医療に加えて泰子さんが支えてきた植物療法もケアの選択肢のひとつとして取り入れている。
ブランマグノリアの看護師たちが大切にしているのは、利用者をその人自身の人生の主人公として尊重し、自分たちは必要なときに力を貸す「名脇役」でいること。その姿勢は、泰子さんが教師として、そして母として長年続けてきた、相手に押しつけない支え方とも重なる。泰子さんは毎朝、スタッフが来る前に門を開け、庭を掃く。利用者がどんなケアを喜んだか、個人が特定されない範囲で看護師から聞くことも楽しみにしている。一方で、看護師たちの仕事が始まれば、2階へ立ち入ることはほとんどない。泰子さんはそんなふうに、静かに見守り、必要なときに手を差し伸べるスタンスで、「支える」人をさらに「支える」役割を担っている。
誰かを支えるとは、その人に代わって人生を歩くことではない。本人の声に耳を傾け、自分でできることや選ぶ力を大切にしながら、必要なときに手を差し伸べることだ。
「この人は何を好まないだろう、と想像して、嫌がることはしない。そういう暮らし方が楽しいし、そういうケアが心地いいものだと思います」
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