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魅惑のぬる湯・栃尾又温泉で身も心も解放──ぬるめの秘湯で、時を忘れて温泉に浸かる

江戸時代から今に至るまで愛される温泉宿、栃尾又温泉・自在館。自分を癒やす温泉時間で、人生を豊かにする。

撮影・太田太朗 推薦・文 石井宏子さん

秘密の階段を降り、辿り着くとっておきの湯──大浴場のひとつ〈したの湯〉は、名前の通り最下階にある。右のぬる湯に長く浸かり、左のあつ湯で体を温め、またぬる湯へ。時を忘れる体験
秘密の階段を降り、辿り着くとっておきの湯──大浴場のひとつ〈したの湯〉は、名前の通り最下階にある。右のぬる湯に長く浸かり、左のあつ湯で体を温め、またぬる湯へ。時を忘れる体験

とにかくひたすら眠くなる。栃尾又温泉はまるで小宇宙へ吸い込まれていくような脱力感が味わえる魅惑のぬる湯。35℃の源泉をかけ流しにした湯船に1時間くらい浸かる。縁の石に頭をのせてぼーっと脱力、湯の中で居眠りや読書をしている人もいる。時を忘れて温泉に浸かると自分の中の時計もゆっくり進むような気がする。寒くなったら隣の加温したほかほかの湯で温まり、またぬる湯へ戻る。身も心も解放できる温泉ユートピアなのだ。趣が異なる3つの共同湯は男女別に日替わり。泉質は単純放射能泉で、温泉と空気中のラドンが細胞を活性化し体を温めてホルモンバランスの調整に役立つ。ぬるめの温泉に長湯することにより副交感神経が優位となり全身に血が巡り、疲労回復や細胞修復のスイッチが入りやすくなる。

(左)貸し切り露天でのびのびする贅沢──貸し切り風呂は3種類。唯一の露天風呂なのが、この〈うけづの湯〉だ。屋根付きなので多少の雨であれば入浴可。部屋からタブレットで予約 (右)湯に向かうときも、自然の豊かさが身近に──〈したの湯〉に行くには、ほの暗い階段をひたすら降りる。天然木の通路と、目の前の窓から優しい自然が目に入ったら、あと少し
(左)貸し切り露天でのびのびする贅沢──貸し切り風呂は3種類。唯一の露天風呂なのが、この〈うけづの湯〉だ。屋根付きなので多少の雨であれば入浴可。部屋からタブレットで予約 (右)湯に向かうときも、自然の豊かさが身近に──〈したの湯〉に行くには、ほの暗い階段をひたすら降りる。天然木の通路と、目の前の窓から優しい自然が目に入ったら、あと少し

自在館は400年の歴史をもつ湯治宿で共同湯の他に自家源泉の貸し切り風呂も3つある。ひとりの時間を楽しみたい時は、無料で予約できる貸し切り風呂へ。食事は毎日献立が変わり一汁四菜が基本。野菜たっぷり、肉や魚もバランスよく、心にも体にも優しい。地元魚沼の在来品種コシヒカリ米を山の清水でといでガス釜で一気に炊き上げるというこだわりで、つやピカに炊きあがったごはんの美味しさも忘れられない。岩魚の炭火焼き、ニジマスのお造り、鴨鍋など追加もできるし、極上の地酒も揃っていて、その時の気分で自由自在なのがありがたい。連泊なら昼食も宿の食堂で注文できる。湯上がりは大正時代の建物の図書スペースへ。ご主人・星宗兵さんが桐たんすをリメイクした本棚が並ぶレトロな空間だ。ゆっくり休んで自分を癒やす温泉時間は人生を豊かにする。

リニューアルした大正館は、モダンなくつろぎ場──3つの棟から成る自在館。最も歴史ある「大正館」は築100年。その1階を2024年にリニューアルし、読書スペースが誕生。数泊の逗留にもぴったりだ
リニューアルした大正館は、モダンなくつろぎ場──3つの棟から成る自在館。最も歴史ある「大正館」は築100年。その1階を2024年にリニューアルし、読書スペースが誕生。数泊の逗留にもぴったりだ
長い滞在でも飽きないように。体想いの一汁四菜──この日はカラスカレイのムニエルをメインに、かぶのそぼろあんなど野菜たっぷりのおかずが並んだ。メニューは年間200種以上にも上るという
長い滞在でも飽きないように。体想いの一汁四菜──この日はカラスカレイのムニエルをメインに、かぶのそぼろあんなど野菜たっぷりのおかずが並んだ。メニューは年間200種以上にも上るという
館の周りにはシンボルの大杉ほか豊かな自然──眼下には湯の沢川が流れ、写真の大杉など豊かな木々が館を囲む、自然豊かな立地も湯治向き。何もしない贅沢を味わって
館の周りにはシンボルの大杉ほか豊かな自然──眼下には湯の沢川が流れ、写真の大杉など豊かな木々が館を囲む、自然豊かな立地も湯治向き。何もしない贅沢を味わって
目にも優しいシンプルな部屋に、寝心地最高の寝具──「心からくつろげる滞在を」との願いから、色使いを極力少なくした室内。寝具は、昭和西川のMuAtsuマットレスを導入してより上質な眠りを提供
目にも優しいシンプルな部屋に、寝心地最高の寝具──「心からくつろげる滞在を」との願いから、色使いを極力少なくした室内。寝具は、昭和西川のMuAtsuマットレスを導入してより上質な眠りを提供
魅惑のぬる湯・栃尾又温泉で身も心も解放──ぬるめの秘湯で、時を忘れて温泉に浸かる

栃尾又温泉 自在館

新潟県魚沼市上折立66 TEL:025-795-2211 1泊1名1万8000円~(夕朝食付き、1部屋2名利用時)。上越新幹線「浦佐」駅からタクシーで30分。無料の送迎バスあり(1日1本、要予約)。帰りのバスも1日1本。全身整体(有料)などのサービスや、ジムも完備。

\このお湯は宝。お待ちしています/
\このお湯は宝。お待ちしています/
  • 石井宏子 さん (いしい・ひろこ)

    温泉ビューティ研究家、旅行作家

    年200日、国内外の温泉を旅して取材執筆。温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する。国際中医師、杏林大学講師(温泉療養学)。

『クロワッサン』1169号より

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