【夫がずっと家にいる…】こじれる前に見定めたい、夫婦の心地いい距離感
撮影・黒川ひろみ、永野佳世(水越さん実例) イラストレーション・本田しずまる 文・板倉みきこ
お互いのテリトリーと時間を尊重するのが鍵
【程よい距離感を保つ夫婦間のルール】
・夫や妻の行動に干渉しすぎない
・お互いの自室はそれぞれで管理する
・どこかの時間に顔を合わせる
YouTuberのライフさんと、8年前に退職した夫。二人が家で過ごす時間は長くなったが、いい距離感を保つために決めたことがある。それは、お互いが顔を合わせるのは、昼食と夕食時の2回のみということ。あとはそれぞれ好きな場所でやりたいことをやり、相手の行動には干渉しすぎない。
「子どもも独立し二人きりの暮らし。夫婦でずっと一緒にいないほうがいい関係でいられるのでは、と私から今の形を提案したんです」(ライフさん)
朝型と夜型、異なる生活習慣の二人は寝室も別に。夫は「相手のスペースとペースを尊重し合うことが、二人が心地よくいられる鍵だ」と、つかず離れずの関係性で生活を楽しんでいる。お互いの領域には口出しせず、適度な距離感で円満に過ごす秘訣を、夫婦のスケジュールから読み解いてみよう。
ルール1
顔を合わせるのは昼食、夕食のときだけに
子どもの独立後、二人の暮らしに合わせて大型家具を手放しすっきりとしたリビングダイニングは、夫婦が顔を合わせる大切な場所。会話が弾み、1時間半ほどかけてゆっくり食事やお茶を楽しむ。
ルール2
静かな時間に家事や動画撮影を行う
YouTube撮影、お茶を飲む
夫の起床時間までリビングはライフさんの聖域。等身大の暮らしを発信するYouTubeの動画撮影のほか、家事やストレッチをしたり、お茶を飲んだりと自分のペースで自由に過ごす。
ルール3
妻は自室やリビングで、夫は外でそれぞれやりたいことを
YouTube編集、アクセサリー作り、読書など
昼食後、ライフさんはリビングでYouTubeの編集をしたり、趣味部屋として使っている元子ども部屋でアクセサリーを作ることが多い。使う空間が被らないよう、ライフさんがリビングにいるときは、夫は愛車をいじったり、DIYをしたり、ジムに出かけたりと、それ以外の場所で過ごしている。
ルール4
スタジオ兼シアタールームで朝まで趣味を満喫
楽器演奏、映画観賞など
親が亡くなった後、二世帯住宅の親の居住スペースをDIY。大きなスクリーンを設置し、壁に防音シートを貼り、夫の趣味の空間に改造。朝まで楽器を演奏したり、映画観賞をして過ごしている。片づけが苦手な夫だが、「ここにモノが収まっているなら、口出しはしません」とライフさん。
夫婦が心地よい距離感を保つ生活空間の工夫
夫が常に家にいる暮らし。現状すでに不満を抱えている人にも、近い将来に備え、知識を得ておきたい人にも役立つ工夫を、一級建築士の水越美枝子さんに実例を踏まえて教えてもらった。
「互いの個が確立した、男女平等が浸透した時代以降の夫婦は、定年後の暮らしに自分の自由を求める傾向が強いです。10年ほど前から、夫婦それぞれの個室を設けたり、洗面台を個別につけるなど、シェアハウス型のリフォームを希望する人が増えました」
リフォームするほどの空間や予算がなくても、心地いい空間作りに役立てられるのが、パブリックとパーソナルスペースの区切りを明確にすること。
「仕切りや棚を設けるだけで、パーソナルスペースは作れます。大切なのは、お互いに我慢しない家を目指すこと。諦めないで空間を工夫すれば、ストレスはだいぶ軽減できますよ」
もやもや1
夫がいつもリビングにいます…
居場所がないのが原因かも。パーソナルスペースを作りましょう
リビングはくつろぐためのパブリックスペース。夫が常にリビングで過ごしていると、私物が増えて煩雑な空間になっていく問題も発生する。「パブリックとパーソナルの空間の区切りを明確にする必要があります。会社勤めをしていた男性は、自分のデスクがあると落ち着く人が多いです。空き部屋がなくても、パソコンが置ける程度の幅と奥行きがあれば充分。リビングの一角や階段の踊り場などにデスクを設けて、夫のパーソナルスペースを作りましょう」
もやもや2
生活リズムが違うのでゆっくり休めません
寝室を区切るとストレスが軽減しますよ
就寝・起床時間の違いやいびき、夜中のトイレなどで安眠を妨げられることも多い。「寝室を別々にしなくても、ベッドを離すだけでも効果大です。またベッド間をカーテンで仕切り、ベッドサイドにそれぞれ照明を置くのもおすすめ。寝室が8畳以上あるなら、高さ120cmほどの棚でベッドの間を仕切ると、圧迫感を抑えつつ視線を遮れます。部屋が狭く、ベッドを離せなければ、せめてマットレスだけでも別にしましょう。相手の振動が伝わりにくく、眠りを妨げにくくなりますよ」
もやもや3
会話が少なくなりました。コミュニケーションを自然に取るには?
パブリックスペースの家具の配置を変えるのも手
リビングを二人がくつろげる空間に整えるのが大前提。「家具の配置の見直しも一案です。ダイニングテーブルに対し、座る人が背を向ける形でソファを置くと会話は弾みません。ダイニングテーブルとソファを、そこにいる人同士が自然に視界に入る配置に変えてみて。また、夫の趣味のものを飾る空間を設けたり、植物や絵を飾るなど、会話の糸口となるものを置くのもいいでしょう」
もやもや4
私ばっかり家事をして、夫はだらだら
夫が自発的に動けるような仕組みを考えよう
人生100年時代とはいえ、どちらが先にいなくなるかわからないもの。さらに、自分の自由時間の確保のためにも、夫には家事ができるようになってもらいたい。「面倒臭く感じない仕掛けや仕組みが必要です。スティックタイプの掃除機をリビングや洗面所近くに置き、すぐ手に取って掃除できるようにしたり、洗濯機や食洗機などスマート家電を取り入れて、労力を減らしてできることからやってもらいましょう。キッチンのリフォームは、シンクとコンロを分ける二列型がおすすめです。一緒にキッチンに立つことができ、台所作業のレクチャーをしながらコミュニケーションの維持にも役立ちます」
『クロワッサン』1167号より
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