染谷将太さんが語る、映画『チルド』──目はお芝居で大事な道具なので、すごく意識的に使っています
撮影・HAL KUZUYA スタイリング・清水奈緒美 ヘア&メイク・光野ひとみ 文・中田 花
日本映画界で、すでに25年も活動している演技派俳優。デビューは子役時代、9歳で出演した映画『STACY』。以降100本以上に出演し、その映画愛と存在感は唯一無二と評価される。
新作映画『チルド』は、都内の片隅にあるコンビニが舞台。わずかな乱れも許さないオーナーの支配下で、20代のほとんどを過ごした副店長役だ。
「生きながら死んでいるという難しい役でした。自分は職場というか現場で冷静を保とうとするとき、ゼロでいようと心構えをしてるんですが。今回の役も冷たくもなく熱くもなく、マイナスでもプラスでもない、無情な感じといいますか。ずっとゼロ地点にいて、ある種の虚無になるという感覚は、自分もわからなくはないんです」
闇を抱えた人物を演じる際の、無力感を纏ったまなざしは「死んだ目」などと呼ばれてきた。
「眠そうとかも言われますし、もう言われ過ぎてあまり何も感じなくなりましたけど(笑)。目はお芝居で大事な道具なのですごく意識的に使っています。若い頃というか幼い頃からそういう表現を求められることが多かったので、それが個性なのかなと思っています」
子どもの学校などに行く際は「無愛想に見えないようになるべく笑顔で、と心がけます」と微笑む。結婚11年目で2児の父親。子育ては楽しいですか?
「それこそ日々同じことがないですし、もちろん成長もしていく。となると自分だけでは考える必要もないことを考えたりして、それはすごく感謝していますし、家族のことを考えることで結局は自分のことも考えていたり。自分も親として成長させてもらっているという感覚は、すごく大きいですね」
天然エピソードに事欠かないことを共演者からよく暴露されていますが。
「そうですね、抜けてます。日程間違いが一番多いです。最近だとレンタカーを借りたんですが、3日分必要だったところを1日分しか借りていなかったんです。残念ですよねぇ。頑張ってるんですけどね、変わろうとして(笑)」
そんな初々しさも魅力の一片だが、演技については完璧主義のイメージが。
「撮影初日は新人の気持ちといいますか。新しい職業に就くぐらい新鮮な気持ちなんですよね。百点満点はない仕事なので、毎回やりきったみたいなことはないです。自分がやったことを否定はしないですけど、こういうやり方もあったな、こういう可能性もあったな、と思うことはよくありますかね」
『クロワッサン』1168号より
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