山田裕貴さんが語る、映画『爆弾』──「僕を助けるのは自分だけ、評価を受けるのも結果自分です」
撮影・HAL KUZUYA スタイリング・森田晃嘉 ヘア&メイク・小林純子 文・中田 花
今年は3本もの主演映画が公開され、相手役は揃ってベテランの実力派俳優。昨秋から今春まで続いた撮影に「毎日が、逃げたい日々でした」と苦笑する。
「目の前に見えている僕の景色はものすごく、いろんな熱が飛んでくる人たちとやれてたことは確かで。若輩者ながらもプロとしての何かを試されているのか、いや苦行でしかないんじゃないかとか、それを振り返る間も余韻もないまま(笑)。すごいプレッシャーでした」
最後に公開される『爆弾』では佐藤二朗さんと共演。原作は多数のミステリーランキングで1位を獲得した同名小説。ファンからの期待度が高い。
「僕が演じる刑事の類家も、佐藤さん演じる容疑者のタゴサクも、世界とか人類に対して諦めをもった人間で、そこにまず僕はすごく共感したんです。こうして僕が3本映画やろうが、僕を助けるのは自分だけ、結果として悪い評価を受けるのも自分。おんなじように、俺が俺を助けるしかない、俺が俺で立ち上がるしかないって思ってるのが類家で、だったら全員ぶっ壊してやろうって思ってるのがタゴサクです」
大きな瞳が印象的な少年ぽい姿形は、俳優15年目の今も変わらない。驚くことに、過去の出演作は100を超えるという。なぜそこまでがんばれるのか?
「……なんでだろう。できない自分に腹が立つからじゃないですか(笑)。明日の電車賃どうしようと悩んでいた日を思えば、出演のお話をいただけることに感謝だと思うし、やれてるのにそれに対してなんで文句言ってんだよって」
同業者でもある妻については、
「それはもうめっちゃ味方でいてくれる。この前も、明日の台本とかなんも考えずにどっか行けたらいいのにねって言われて、ごめんねと思いました」。家事分担は「どっちが、とかないです。やれる人がやる。風呂も沸かすし洗濯機も回します」と飾ったところがない。
「今後ですか? 勉強したいです。英語や歴史。国や景色も見たいし。本気でちゃんと身につくまで、勉強したいです」
『クロワッサン』1152号より
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