『空飛ぶ写真家の地球旅』著者 山本直洋さんインタビュー ──「想像を超えた絶景と感動が地球にはある」
撮影・鳥羽田幹太 文・一寸木芳枝
風や上昇気流がなくても高く飛ぶことができるモーターパラグライダー。ガソリンを積み、エンジンをふかして上昇するこの“空飛ぶマシーン”で空撮を行う写真家・山本直洋さん。本作は、彼の“空を飛びたい”という少年時代からの夢を叶えるまでの道のり、そして現在進行中の世界七大陸の最高峰を飛ぶプロジェクトへの想いを綴ったノンフィクションだ。
「自伝、というほど大げさなものではなく、純粋に“空を飛ぶとはどういうことなのか知りたい”という人に、伝えられたらいいなと」
山本さんが撮影した写真をはじめ、モーターパラグライダーの図解や、空を飛ぶための準備がイラストで説明されており、カテゴリとしては児童書に分類されるが、読者には50代、60代も多いという。
「山登りが趣味だったり、冒険家を応援している方など、“自分では見ることのできない景色を僕の写真で見られるから面白い”と言ってもらうことが多いですね」
インタビューを行ったのは、第4弾となる南アメリカ大陸最高峰、アコンカグアでの撮影から帰国したばかりのタイミング。ひとつの山に挑むには、約2000万円の費用がかかり、今回も資金集めには苦労したという。
「出発の1カ月前の時点で500万円足りなくて。それがいよいよ出発2週間というところで、“出すよ”と言ってくださる社長にお会いできて。それがクリスマスの日で、僕にとってはまさに、サンタクロース現る!でした(笑)」
大変なのは費用面だけではない。現地で飛ぶ際の許可申請、機材の輸送、税関手続き、到着後は機材の組み立てがあり、不具合があれば修理もこなす。さらに、決行時は気象条件にも大きく左右される。
「とにかく我慢比べ。ただ、自分は冒険家ではないので、リスクを冒してまで飛ぶことはありません」
生きた地球を感じ、魂が震えた瞬間の一枚をレンズに映し出す
山本さんが自分を冒険家ではないとするその理由は、ほかの誰かが同じことをやっていても、自分がやること自体の価値は下がらないと考えるからだ。
「前人未到に挑戦することに最も価値を感じるのが冒険家の方々。でも僕は、別に自分より先に誰かがそれをやっていたとしても、僕というフィルターを通して切り取る写真に意味があると思っていて。その点が大きく違うと思います」
空撮というと、ここ数年でおなじみになったドローンも浮かぶが、それも全く別物だと捉えている。
「僕の写真家としてのテーマは“地球を感じる写真”。ドローンは純粋にきれいな映像、写真だけれど、地球を感じるかというと、そうでないのかな、と。もちろんこれは僕のエゴで、見る人がどう感じるかは、人によって違って当たり前。でも、自分が感動しないと人を感動させる写真は撮れないかな、と思って撮り続けています」
まだ見ぬ景色を追いかけて。来年の5月には北アメリカ大陸最高峰、マッキンリーを目指す。
『クロワッサン』1166号より
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