上手な家事の手放し方ーー毎日の台所仕事は70点でいい
撮影・黒川ひろみ 文・松本あかね
100%出し切らない
「家事は70点でいい。手は抜けるだけ抜きたいですね」とにこやかに、しかしキッパリと話す後藤由紀子さん。
「子どもたちが独立し、夫と2人暮らしになったら、これまで家族に向かっていた矢印が自分に向くように。年々スタミナが落ちていくし、踏ん張りも利かない。そんな自分を労り、甘やかす方向へ切り替えました」
まず見直したのは、家事の中で比重の大きい食事作り。火加減を調整しなくていいよう、電子レンジや電気圧力鍋を積極的に活用。しんどい作業は省エネ化し、作り置きをやめて食べ切れる量を作るようにしたところ、体感にして台所に立つ時間が5割減。夕食の支度も15〜20分で済むようになった。
「手の抜き方がわかってきたら、体も楽だし、頭も心も軽やか。余裕ができた分、今日を精いっぱい楽しんでいます」
1. 長時間キッチンに立たない
独立型キッチンは夏暑く冬寒く、長くいると消耗するため、家電をフル活用。回鍋肉や蒸し鶏、ハンバーグは耐熱ポリ袋を使い、食材と調味料を入れてもみ込み、電子レンジで調理。煮込みも電気圧力鍋なら材料をセットするだけ。「キッチンに立って火加減を見なくていいので、調理の負担が減りました」
2. 疲れる作業はやらない
「しんどい、面倒と感じたらやり方を見直します」。和え物を作る際は、ボウルでなくプラスチック製の耐熱保存容器を使用。軽いうえに、電子レンジ加熱から保存まで一つで間に合い、洗い物も少なくて済む。麺や野菜の水切りは、ざるを上下に振るのが大変だったので平ざるに変更。麺を掌で軽く押すだけで水切りも楽々。
3. 重たいものは都度買わない
夫のために頻繁に購入していた炭酸水は、炭酸水メーカーを導入することで、重たい買い物から解放。「かさばるペットボトルがなくなり、ゴミ捨ても楽になりました」
4. 作り置きはしない
子どもと暮らしていた頃は、大量に食材を買い込んで何品も作り置きをしていたが、今は直径14cmの鍋で夫婦が食べ切れる分だけ調理。「2人分の味噌汁や、かぼちゃ1/4個、厚揚げ1枚を煮るのにぴったり。調理時間がグッと短くなりました」
5. 毎日料理は作らない
疲れてキッチンに立ちたくない日は、今日は作らない日と決め、夫とラーメンを食べに行ったり、気になっていたレストランに行ったり、近所の惣菜店を利用。「週1回くらいは積極的にサボるようにしています。手作りにこだわらなくてもそのほうがお互いにご機嫌でいられるんです」
『クロワッサン』1126号より
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