くらし

溜め込むだけじゃダメ。金運を呼び込むポイントは、巡らせ、感謝し、整える。

お金に恵まれる人生は、ちょっとしたコツで手に入れることができる!?
お金のプロが実践する金運アップ術を聞いた。
  • 撮影・中島慶子、黒川ひろみ イラストレーション・村上テツヤ 文・長谷川未緒

「金運は〈お金が運ばれてくる〉と書きますから、それを上げるには、お金に好かれて集まってもらえる行動や考え方をすることが大切」と語るのは、家計コンサルタントの八ツ井慶子さん。お金が自分のところに来てくれたことに感謝し、大切に使うことがお金に好かれる第一歩だという。

「お札は、幸せを祈願しておまつりする〈おフダ〉とも読む、そのくらい大事なもの。モノやサービスを購入するときには、その大事なお金を手放すだけの価値があるか、真剣に考えましょう。ムダに使われるより、その人を幸せにしてくれるものに使われることで、お金は喜んでくれると思います。お金に好かれる使い方、考え方を日々の暮らしに取り入れてみてくださいね」

日本の古いお札を飾った額。「ときおり視線を感じ、いい気分になります」(八ツ井さん)

貯め込むことばかり考えない。誰かの支出は誰かの収入。

老後資金にいざというときの備え、ここ最近の物価高等、お金にまつわる不安要素は盛りだくさん。節約することばかりに気を取られがちだが、水の流れが滞ると、よどんで腐るのと同じように、お金も貯め込みすぎず、ほどよい流れを意識して使ったほうが、金運が上がる、と八ツ井さん。

「いくらあっても安心できず、何千万円も預貯金がありながら、これで足りますか? 私は生きていけますか? と聞かれることがあります。
お金は本来貯めるためにあるのではなく、使うためにあるもの。使ってこそお金はその本領を発揮します。
また、金は天下の回りものと昔から言うように、こちらが使えばどこかで潤う人がいます。私たちは経済に参加している登場人物のひとり、歯車のひとつです。歯車はひとつでも欠けると機能しませんから、必要以上にがまんしている人は、人生が豊かになることに、もう少しお金を回すようにしてもいいと思います」

お金のことを 口にするのは良くない、という気持ちを改める。

「お金のことを話すのは下品とか、いやらしいといったネガティブなイメージがありますが、私は“お金が好き”と公言しています。お金のことを人間と同じように考えているので、無視されればさみしいでしょうし、自分のことを好きだと言ってくれる相手のところに行きたいと思うはず。私の元にいてくれてありがとう、とお礼を言い、一緒にお風呂に入ることもあります」

お金に対する先入観を捨ててオープンに話題にすることで、興味が深まり、情報が集まってくる。結果、お金に関する正しい知識を得られ、適切に付き合えるようになる。
「執着して守銭奴のようになることとは違います。犬が好き、猫が好き、と同じように素直な感覚で、お金が好き、と言えるようになれたらステキだと思います」

小銭もおろそかにしない。財布は日々整える。

八ツ井さんの長財布と小銭入れ。財布はときどき洗い、小銭も表裏を揃えて入れている。

金運アップには長財布がいいと聞くが、大切なことは財布の形よりも、お金を大切に扱おうという気持ちだ。

「長財布でも二つ折りでも、お金の管理が苦手な人の財布は汚れていることが多いと感じています。お金の居場所を粗末にしているのですから、お金も大事にできていないのかもしれません。1円玉にも気を配り、お札の向きを揃えてレシートは毎日整理し、お金が気持ちよく過ごせるようにしてあげてください」

徳を積んで宇宙銀行に貯金しよう。

宇宙銀行という言葉を聞いたことがあるだろうか。この銀行に預けるのはお金ではない。人にやさしくしたり、公共の場の掃除など徳を積むことで、運やお金を引き寄せられるという。

「見返りを期待せず、本当にやりたいと思うことを自分や人のために行っていると、必要なときに必要なお金が入ってくると私は信じています。不平不満や他人の悪口を言ったり、わがままをしたりすると、宇宙銀行の残高は大きく減ってしまうのだそうですよ」

ムダ買い防止には自己肯定感が大切。「私は自分のことが好き」と毎日言う。

延べ千人超もの相談者とお金について考えてきた結果、ムダ遣いをなくすコツは「自分を好きになること」と気づいたという。
自分を好きになると自分の喜ぶことにお金を使うようになる。すると、人からよく思われるために身の丈に合わないものを買ったり、行きたくない食事会に出かけたりしなくなり、ご褒美、自己投資という名目の浪費もしなくなる。自分を好きな人は自分の好みをよく分かっているので、他者目線ではなく自分軸で幸せを感じられることにお金を使えるのだ。

「とはいえ自分を好きになることは時に簡単ではありません。私もかつてはコンプレックスの塊で、欠点や弱さを受け入れるのに苦労しました。ある時、どうしても自分が憧れるような人にはなれないので自分の欠点を諦めて受け入れようと思い、それから少しずつ自分が好きになりました。毎日『自分が好き』と言うのも効果的だと思います。言葉にはパワーがありますので、試してみてください!」

お金の使い道のうち、「必要」「便利」「ラク」を 区別して考える。

八ツ井さん愛用の色鉛筆と、ゆずの種で作った化粧水。「必要なものを買い、使い切ります。自分で作れそうなら、手作りすることも」

節約したくても、どれも必要な出費で削れないと思うことはないだろうか。しかし必要だと思って買ったものや利用したサービスも、よくよく区別してみると「必要・便利・ラク」の3つに分けられる、と八ツ井さん。

「エスカレーターを例に考えてみましょう。足を怪我していたらエスカレーターは必要。重い荷物を持っているときは便利ですね。そして、健康で歩ける足があり、荷物も軽いときのエスカレーター利用はラクだから。これを買い物に置き換えてみます。仕事が忙しくて買ったお惣菜は必要? 便利? 便利やラクを買うことが悪いわけではありませんが、この3つを区別することで、お金の使い方の優先順が見え、家計の改善につながります」

人と比べず、自分の中の優先順位を大切に。

お金は必要なものや自分を幸せにしてくれるものに使うべきだが、その基準は人それぞれ。他人にはムダ遣いと思われても、人生を豊かにできると思うなら、使ったほうがいい。

「食費や娯楽費、被服費といった変動費は平均額が気になるかもしれませんが、1食抜いてでも洋服を買いたい人もいるでしょう。完全に主観でいいので、お金は自分らしく幸せに生きるために使いましょう。ちなみに私はお酒には人より多くお金を使っていますよ」

自分の精神的ルーティンで不安を解消。

東京・世田谷の「豪徳寺で授かった招き猫にも手を合わせ、生きていることに感謝します」(八ツ井さん)。

将来に対する不安は誰にでもあるもの。不安に襲われたときは、まずは不安材料を書き出し、努力して解消・軽減できることと、できないことに分ける。そしてできることにお金と時間を使い、不安を軽くするといい。

「どうにもできない不安については考えません。神様にゆだねます。私は毎月、水天宮にお参りし、感謝して手を合わせています。そうすると神様と一緒にいる気持ちになり、生きることが楽になる気がします」

今ある縁を大事に、今あるこの仕事を丁寧にすること。

「私の金運が実際のところいいかどうか、正直わかりません。ですが独立して以来、仕事が途切れることはなく、今の状態に満足ですし、感謝しています。人事を尽くして天命を待つというように、いただく仕事のひとつひとつに心を込め、できる限りのことをしていれば、お金は必ずついてくると思います」

目の前のことに丁寧に取り組んでいれば、周りの人も必ず見ているはず。結果、金運を呼び、いい人生につながっていくのだろう。

八ツ井慶子

八ツ井慶子 さん (やつい・けいこ)

家計コンサルタント

個人向けの相談に積極的に取り組み、延べ千人超にアドバイス。わかりやすく温かい助言に定評がある。テレビや雑誌などの出演も。著書多数。

『クロワッサン』1084号より

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