斬新な発想で、いつも元気が出る料理を紹介してくれる平野レミさんお薦めの手みやげは、新潟県佐渡島(さどがしま)で手作りされている干し柿と干し芋だ。
「ねっちょり、まったりしてて、本当においしい。こういう手を加えていない自然の甘さって、一度味わうと他のものが食べられなくなるのよね」
手掛けているのは、神奈川県から佐渡島の南にある羽茂(はもち)に家族5人で移住した島倉学さん、亜希さん夫婦。2年間の研修を経て独立し、地元の果物や芋を育て、自然本来の甘さを生かした干し柿や干し芋、干しりんごなどを作っている。
「空気がきれいで、のどかな別世界のような農園。地平線と空がぶわーっと広がっていて何も障害物がないところにログハウスを建てて暮らしている。それが風景によく合っているのよ。ああいうところで生活していたら絶対に長生きするわよね。儲けなんか考えないで、地道に心を込めて作っている姿勢がいい。だからご夫婦共々、すごくいい顔をしているの」
子どもの頃から芋や栗など自然のものが好きで、手みやげも果物が多いという。
「だけど、この干し柿と干し芋は、あまりにおいしくて、人にあげるのが惜しくなって(笑)、息子家族へのお土産にしたの。やっぱり自然のものっていいわよね。子どもの頃、蝉も鳴きやむくらいの暑い最中に、家庭菜園に入っていって、真っ赤に熟したトマトを食べる醍醐味。あのおいしさは忘れられないなあ」
イラストレーターだった夫の和田誠さんが亡くなって、丸3年になる。
「寂しくて寂しくて、悲しくて悲しくて、会いたくて会いたくて。3年たっても変わらないどころかどんどん好きになって困ってる。和田さんは佐渡島が大好きで、たらい船に乗った私の姿を描いて週刊誌の表紙にもなったのよ。この干し柿も、和田さんに食べてもらいたかったなあ」