くらし

すべて非常食じゃなくてOK,災害時の「食事」の備えとマストアイテム。

被災した時、その後できるだけ早く立ち直るためにも、心と体を徹底して守ることが大事。その肝となる食事の備え方を国際災害レスキューナースの辻直美さんと、料理研究家で防災士の島本美由紀さんに聞きました。
  • 撮影・黒川ひろみ イラストレーション・中島陽子 文・長谷川未緒

災害時こそ、いつもの「食事」で不安を解消。

非常食にはパンの缶詰もおすすめ。やわらかい食感と甘さが、食欲が湧かなくても食べやすい。ロングライフ牛乳と合わせれば、これで1食に。

「7日分の食料備蓄のうち、すべてを非常食でまかなう必要はありません。前半は冷蔵庫にある食品を食べ、後半に長期保存可能なロングライフ食品等を活用しましょう」(島本さん)

常温でも傷みにくく、いざとなれば加熱せずに食べられる野菜や、ビタミン豊富なくだものを多めに買う習慣を。非常食はロングライフ豆腐・牛乳・豆乳や、ツナ・サバ缶など、タンパク源となるものを備えておくといい。

「非常食はふだんから食べて、味に慣れておいてください。嗜好品も買い置きしておくといいですよ。コーヒーやチョコレートなど、好きな食べものは心を落ち着かせてくれます」

キッチンの防災マストアイテム。

温かいものを食べると心が落ち着くのでカセットコンロとガスボンベは必需品。日常的に使って不具合がないか確認を。水は一日ひとり3リットルが目安だが、余裕を持って備えたい。高密度ポリエチレン袋は、湯煎調理できる。

カセットコンロの寿命は約10年、ガスボンベは約7年。知らずに使い続けるとガス漏れの原因に。使い捨ての割り箸などもあれば便利。

皿にはラップをかけ、コップにアルミホイルをかぶせて型取りして小鉢に。使用後は捨てるだけだから、洗う手間と水の節約になる。

冷蔵庫の工夫。

停電しても扉を頻繁に開けなければ、庫内はしばらく冷気を保てる。むやみに長時間開けずに済むよう、どこに何が入っているか把握しておこう。冷凍室はパンパンに詰めておくと停電時も食品自体が保冷剤代わりになる。

最初に消費したいのは肉や魚などチルド室のもの。水を入れて凍らせたペットボトル氷で冷やすと1〜2日は持つが、早めに加熱調理を。

製氷機の氷は常に満タンにしておくといい。氷をポリ袋に入れれば 氷嚢や保冷剤として活用でき、溶けたあとは生活用水や飲み水に。

野菜は保存次第で長持ち。乾燥しやすいミニトマトやバジルなどのハーブ類は、水に浸したキッチンペーパーを敷いた保存容器に。

寒さや乾燥、湿気に弱いきゅうりやにんじん、大根はペーパーで包んでポリ袋に入れ、畑で育った形で保存。写真はきゅうりの保存法。

キャベツやレタス、白菜などの葉野菜は、成長点のある芯を楊枝で3カ所刺しておく。成長が止まり、保存期間が延びる。

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