くらし

非常持ち出し袋に入れるべきアイテムとは?防災アドバイザーがアドバイス。

大規模災害が発生すれば、電気やガス、水道といったライフラインが寸断され、復旧まで時間がかかることに。慌てないよう自宅の備えを充実させておこう。
防災アドバイザーの高荷智也さんがアドバイス。
  • 撮影・津留崎徹花、黒川ひろみ、中村ナリコ イラストレーション・中島陽子 スタイリング・白男川清美 文・一澤ひらり

自宅から避難しなくてはならないとき必要になるのが非常持ち出し袋。

「最初の1日を乗り切るための命を守る袋です。ライト、笛、雨具、応急手当のものなどを入れます。また、現金が必要になるので、千円札10枚と小銭を入れた財布、貴重品や保険証・免許証などのコピー、家族の写真、常用薬やお薬手帳など個人的に必要なものを入れましょう」

これとは別に避難所生活用の避難袋を作っておくことが肝要。一時帰宅できたら持って出るようにする。

「大雨や台風などの水害は事前に予測できるので、早めに避難をすれば命は守れます。突然の大地震においては日ごろの備えが命を助けることになります。ふだん防災が大事です」

高荷さんは目的別にアイテムをまとめ、雨に濡れないようジッパー付き保存袋に入れたものを14袋用意。重さ5.6kgに。

【非常持ち出し袋】

軽量、コンパクトにまとめて、いざというとき即持ち出せる場所に。

踏み抜き防止 インソール

踏抜防止インソール 1足795円(ワークマン https://www.workman.co.jp)

避難時の道路は危険がいっぱい。靴の中にガラス片や釘などの貫通を防止するステンレス内蔵インソールを入れておこう。

ケガで身動きできないときや建物に閉じ込められたとき、助けを呼ぶための笛は必携。「非常時は何が起こるかわかりません。自分の生存を知らせる命綱になりますから、よく響く笛を家族全員に持たせて」(高荷さん)

雨具

傘ではなく、防水性の高い上下に分かれたレインウエアを用意しておくこと。「雨に濡れると体温が低下して、冬には凍死することもあるほど生死に関わるのが雨具です。防寒具にもなるので必ず入れてください」

ヘルメット

折りたたみヘルメットIZANO2 5,566円※編集部調べ(DICプラスチック https://www.dic-plas.co.jp/)

落下物から頭を守るヘルメットは防災の基本。折りたたみ式ならコンパクトに収納できて、場所も取らない。

グローブ

あんしんグローブ 1,408円(ファシル TEL.0120・33・0214)

瓦礫やガラス片でケガをしないように手を保護するのがグローブ。「綿の軍手より丈夫な皮革製のほうが、尖ったものなどの危険物から手を守ってくれます」。

アルミ保温シート

体の熱を逃がさないので、体温低下を防ぐ。「風雨や寒さから体を守ってくれるサバイバルシートですが、実は目隠しとしても使えます。全身にまとえるのでその中で着替えたり、用を足すこともできます」

乾電池式充電器

スマホをバッテリー切れにしないことが災害を乗り切るポイントに。「外部とつながっているという安心感は大切です。モバイルバッテリーと違って、乾電池式なら電池さえあれば充電できるので必ず入れましょう」

LEDヘッドライト

暗闇での移動にヘッドライトは必須。「手に持たないといけない懐中電灯と違って、ヘッドライトは両手が使えるので安全な行動がしやすく、手元を照らしながら作業もできます。家族全員の分を備えてください」

救急・応急手当セット

災害時は不意のケガはもちろん、体調も崩しがち。「三角布、傷パッドなどの救急セットだけでなく、持病の薬やお薬手帳、予備のメガネなど、ないと生活できず、体の一部になっているものを入れましょう」

1日分の着替え

寒い時季、雨に濡れたままだと体温が奪われてしまい危険な状態になることも。乾いた下着は必ず用意。「女性の場合は1泊旅行で持っていくようなお泊まりセットで、最小限のものを入れておくといいと思います」

エコバッグ・スリッパ

避難所は原則土足禁止なので上履きは必携。「室内履きやスリッパを用意しましょう。貴重品を入れて持ち歩けるウエストバッグや斜め掛けができるバッグ、支援物資を入れるエコバッグなどがあると重宝します」

ゴミ袋・アルミシート

45Lゴミ袋は万能アイテム。「非常用トイレを作るときに便器に被せたり、防寒着や雨具にしたり、中に新聞紙を詰めれば枕にも。避難所では床に寝ることが多いのでアルミシートやレジャーシートを敷いてください」

メモ帳とペン

最も確実な情報伝達の手段は筆記。「伝言やメモを書いたりする筆記用具は必要です。ことに被災後は情報が錯綜するので大切なことはメモを取る。できれば濡れてもにじまない油性ペンを使うといいですね」

水・食料

目安としては500mlの水2~3本、ゼリー飲料、栄養補助食品、不足しがちなビタミンやミネラルのサプリなどを用意。「常温でそのまま食べられて、においの少ない栄養補給できるものが周囲を気にせずにすみます」

携帯ラジオ

災害時の情報収集で頼りになるのはラジオ。「災害発生時に自治体が開局する、臨時災害FMの情報も入手できます。地域に密着した情報が届けられ、東日本大震災では多くの臨時災害FM局が開局しました」

暑さ対策

デイアウト ハンディファン&ケースセット 2,750円(グランジャパン TEL.072・920・7521)

夏の猛暑に対処できるように、扇子やうちわ、ハンディファン、熱中症対策の塩分タブレットなどを用意したい。

携帯トイレ

トイレに困ったときのために非常用トイレを携帯しよう。「手のひらサイズのものでも、排泄袋、凝固・脱臭剤、防臭袋、除菌水などがセットされています。水に流せるティッシュも一緒に入れておくと万全です」

[女性としての備えと、避難所で注意すべきこと。]

生理用品をはじめ、自分に必要なものを。

「避難所は衛生状態が悪化しやすいので、デリケートゾーンの洗浄シートやおりものシート、携帯用ビデなどは用意したいですね」

と話すのは女性の防災に詳しい冨川万美さん。避難所でとくに気をつけるべきことは?

避難所では子どもや女性はひとりにならないよう、複数で行動を。

「残念なことに避難所では子どもや女性の性被害が起きてしまったのも事実です。肌の露出や単独行動は避けること。また、単身の女性に声をかけるなど、連帯してサポートできるよう心がけましょう」

高荷智也

高荷智也 さん (たかに・ともや)

備え・防災アドバイザー

災害に関するアドバイスを行う「ソナエルワークス」代表。家庭の防災から企業のリスク管理まで"備え"をテーマに幅広く提言。

冨川万美

冨川万美 さん (とみかわ・まみ)

NPO法人「ママプラグ」理事、アクティブ防災事業代表。

監修書に『家族と自分の命をつなぐ最新常識 今どき防災バイブル』。

『クロワッサン』1076号より

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