親の家の冷蔵庫。 たくさん入りすぎていても責めてはいけません。【編集部こぼれ話】
「親の家の片づけ」テーマ取材のための依頼を進めていた昨年11月末。いつも元気だと思っていた母が、突然肺炎を起こして入院しました。2週間以上はおそらく家に帰れないとのこと。
そこで、ともかく父のための料理を作らなければと、実家の冷蔵庫を開けたら、野菜室の中には古くなった大根が短いの長いの合わせて計4本分。白菜が丸ごと1個と食べかけ半分。にんじん12本。豆腐が6丁。食べ切りタイプのヨーグルト16個。
それ以外にも、老夫婦二人暮らしとは思えない、およそ20人分の食事をまかなえそうな食材が詰まっていました。
いったいこれはどうしたことか。実家は都内ながら、スーパーからも駅からも歩くには遠い場所。コロナで買い物に行くことが憚られて生協でいろいろ注文するけれど、配達は週に1回。大きな野菜も丸ごと1個や数本入りの袋でしか注文できず、結果、食べ切れない。
だから冷蔵庫の中はぎゅうぎゅうで、何があるのか把握できずに、あるものをまた買ってしまうという負のループに陥っていたようです。文句の多い父に合わせていろいろと買いすぎてしまう面もあるのですが……。片づけが苦手な母です。
近くに住む友人たちに多くを引き取ってもらい、ほっとしたのも束の間、また大根と白菜と豆腐とヨーグルトが生協から届きました。母が入院前に注文していたものでした。はあ……。
阿部絢子さんによれば、親の家を片づけたい、というのは子どものエゴだとか。たまに来て勝手なことを言うなと阿部さんは言います。その人の暮らしはその人の人生なのだから、勝手に片づけるのは親を尊重してないということだと。
母の入院中にバリバリ片づけようと思っていた私の手は止まりました。そうか、勝手にやりすぎてはいけないのですね。
「あるものを見える化して、使いやすい仕組みを作る手伝いをすればいいんですよ」
わかりました。では、冷蔵庫の中にあるものを時には出して見える化します!
その後、母はよくなって退院し、私も自分の家でゆっくりご飯を作ろうと、鍋の材料をスーパーで買って帰りました。冷蔵庫を開けてがーん。こちらの冷蔵庫にも以前買った豆腐と白菜がしっかり入っていたのでした。ほんと、ひとのこと言えませんよね。
(編集K)
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