壁紙の痛みをセルフで修繕する方法。
撮影・黒川ひろみ 文・長谷川末緒
ハッと気付いたらこんなことに…。
「壁紙の部分的な穴や剥がれはストッキングの伝線と同じで、時間の経過とともにそこから広がります。また、結露等で下地まで劣化が進んでしまうこともあるため、壁紙補修剤で早めに対応しましょう」
壁紙がつなぎ目から剥がれているだけの場合は、接着剤で貼り付けてケアを。大きくめくれたり、壁紙が剥がれ落ちている場合は、似た壁紙を用意して貼るが、手に入らないことも。その場合も凹凸がある壁紙であれば今回紹介するようなキットで修繕可能だ。
(1)気付いたときには飼い犬が剥がし取っていた壁紙。下地の木材まで見えてしまう状態に。
(2)修繕箇所周辺の汚れ、油分や水分を、アルコールを染み込ませたぞうきんで拭き取る。
(3)樹脂を80度以上のお湯に浸して、柔らかくする。再度お湯につければ何度でも型取り可。
(4)樹脂が青から半透明になったら、型が取れる柔らかさになっている。
(5)修繕箇所とよく似た凹凸部分に、水分を拭いた樹脂を押し広げて型を取る。やけどに注意。
(6)樹脂が固まってくると、半透明から青に。しっかりと型が取れていることを確認する。
(7)クロス用のりを付属のはけで補修箇所に薄く塗り広げ、その上に壁紙の素を指で広げる。
(8)型取りした樹脂を壁紙の素の上から押し当てて、壁紙の凹凸を再現する。
(9)模様のバランスを見つつ、修繕箇所全体に凹凸を付ける。30分程度乾かしたら完成。
あると便利。
ピンでできた穴や隙間を埋める穴埋め材は、色味が3種類。壁紙の汚れをきれいに落とす消しゴム、小さな剥がれを貼り付けるのりがセットに。
「自宅をセルフで修繕するならば、1、2時間で終わり、怪我をする心配のない場所がおすすめです」と語るのは住生活ジャーナリストの藤原千秋さん。
傷みでも放置していると、そこを起点に破損が進むこともあるので気がついたら早めの修繕を心がけたい。傷みだけではなく、掃除では落としきれない汚れも修繕の対象だ。今回は、初心者でもトライしやすい壁と床を、読者の自宅で実践してみた。
「小さな傷や汚れが軽いうちに直すことで、家が長持ちし、プロに頼むような本格的な工事に至るまでの時間を稼げます。今は修繕キットもたくさん販売されていますので、ぜひ試してください」
これらは必須!
修繕を行う際は、修繕箇所の汚れを落とすための雑巾やウエス、破れにくいキッチンペーパー、アルコール消毒液、手を守るためのゴム手袋を用意しよう。切り傷ややけど等には、充分注意して。
『クロワッサン』1046号より