暮らしに役立つ、知恵がある。

 

暮らしに取り入れやすい民藝うつわの魅力と使い方。

日本各地で名もなき職人につくられ、文化人にも愛されてきた日用品が民藝。
暮らしに取り入れやすい民藝うつわの魅力と使い方のコツを『工芸喜頓』の石原文子さんに聞きました。

撮影・深水敬介 イラストレーション・村松佑樹 文・輪湖雅江

『工芸喜頓』が選ぶ、おいしいうつわ。

「民藝のうつわを探す時のコツをひとつ挙げるなら、まずは”自分や家族がいちばん大事にしている食事”のためのアイテムを選ぶということです。朝のコーヒーを欠かせない方ならマグカップ、家族で食べる夕食が大切な方なら大鉢、というように」と石原さん。ここでは『工芸喜頓』が扱う全国のうつわの中から、普段の料理をおいしく見せ、食事の場を楽しくするものを紹介。

【熊本】小代焼 ふもと窯(しょうだいやき ふもとがま)

野菜が映える藁灰釉は柳宗悦のお気に入り。

かつて肥後藩の御用窯だった小代焼。ふもと窯は井上泰秋さん・尚之さんの父子による名窯。「“藁灰白(わらかいはく)”と呼ばれる青白い藁灰釉(わらばいゆう)が特徴で、緑色の野菜がよく映えます。五寸丼は麺丼にぴったり」。

手前・藁灰白四寸小鉢 直径12cm 各1,100円 奥右・藁灰白流しかけ飯碗 直径12cm 2,800円 奥左・藁灰白五寸丼 直径15cm 2,200円
手前・藁灰白四寸小鉢 直径12cm 各1,100円 奥右・藁灰白流しかけ飯碗 直径12cm 2,800円 奥左・藁灰白五寸丼 直径15cm 2,200円

【島根】湯町窯(ゆまちがま)

飲み心地がいい蜂蜜色のスリップウエア。

民藝運動を牽引した陶芸家バーナード・リーチ直伝の技法を継承する、布志名焼の名窯。「湯町のマグカップは絶品。持ちやすく飲み心地がよく、眺めるだけで元気になる美しさです。ピッチャーは水にもワインにも使える小さめがおすすめ」。

スリップピッチャー 口径7×高さ18.5cm 1万5000円 マグカップ直径8×高さ8.5cm 3,000円
スリップピッチャー 口径7×高さ18.5cm 1万5000円 マグカップ直径8×高さ8.5cm 3,000円

【沖縄】 まさひろ工房(まさひろこうぼう)

熱々おでんが合う“やちむん”の碗。

登り窯で伝統的な焼き物をつくる仲村まさひろさん。「マカイ(碗)は麺やご飯に加え、おでんや練り物も合う。ポテトチップスを盛っても」。

手前・五寸皿刷毛目 直径15.5cm各2,200円 奥右・六寸マカイ白重ね唐草文 直径18.5cm 各4,600円 奥中・五寸マカイ指描 直径15cm 3,000円 奥左・五.五寸マカイ三彩点打 直径16cm 4,200円
手前・五寸皿刷毛目 直径15.5cm各2,200円 奥右・六寸マカイ白重ね唐草文 直径18.5cm 各4,600円 奥中・五寸マカイ指描 直径15cm 3,000円 奥左・五.五寸マカイ三彩点打 直径16cm 4,200円

【兵庫】丹波焼 俊彦窯(たんばやき としひこがま)

海外にもファンが多い洋食も映えるデザイン。

陶芸家・河井寛次郎の孫弟子にあたる清水俊彦さんの窯。「洋食にも合う小鉢は、買い足しする方も多い人気アイテム。長角皿は魚の切り身がぴったりです。家族の人数分そろえるとうつわの魅力が際立ちます」。

右・黒釉鎬手(こくゆうしのぎて)四寸鉢(上)、糠釉鎬手(ぬかゆうしのぎて)四寸鉢(下) 各直径14cm 2,600円 左・掛分長角皿〈小〉 各23.5×12.5cm 3,300円
右・黒釉鎬手(こくゆうしのぎて)四寸鉢(上)、糠釉鎬手(ぬかゆうしのぎて)四寸鉢(下) 各直径14cm 2,600円 左・掛分長角皿〈小〉 各23.5×12.5cm 3,300円

【広島】惣堂窯 掛谷康樹(そうどうがま かけややすき)

食卓が華やぐ、練り上げの深鉢の存在感。

異なる色の粘土を組み合わせて作陶する伝統技法“練り上げ”に魅せられ、作陶を始めたつくり手。「料理を盛った時のカッコよさには、やみつきになる魅力がある。手に持った時のコロンとした丸みや厚みも心地いいんです」。

右・練上手(ねりうわて)楕円深鉢 各長径25×短径22×高さ9.5cm 3万5000円 左・練上手片口 各直径15cm 4,500円
右・練上手(ねりうわて)楕円深鉢 各長径25×短径22×高さ9.5cm 3万5000円 左・練上手片口 各直径15cm 4,500円

【愛知】瀬戸本業窯(せとほんぎょうがま)

料理好きを魅了してやまない名窯の片口。

丈夫で美しい白い土と多彩な釉薬を生かしたうつわにファン多数。「片口は麦とろや煮物が抜群においしく見えます。ドレッシングで和えたサラダや汁気が出てしまうおかずも、口があるから水切りしやすい。卵を焼く時にこの中で溶いて混ぜて……とボウル代わりに使うのも楽しいです」。

三彩片口 直径19.5×高さ10cm 2万5000円
三彩片口 直径19.5×高さ10cm 2万5000円

【島根】森山窯(もりやまがま)

使うたびにうれしくなる、滋味深い美しさ。

河井寛次郎に師事した森山雅夫さんの窯。「呉須釉や瑠璃釉のうつわも有名ですが、私のイチオシは灰色の糠釉。里芋の煮物、もやしと豚肉の炒め物、ささみとキュウリの和え物など、色の強くない料理がとてもきれいに映える。現代作家のうつわや洋食器との相性もいいんです」。

八寸糠釉押紋鉢 各直径25.5×高さ5.5cm 8,000円
八寸糠釉押紋鉢 各直径25.5×高さ5.5cm 8,000円
  • 石原文子

    石原文子 さん (いしはら・ふみこ)

    「工芸喜頓」店主

    フランス留学中に日本の民藝と出合ったのを機に、2013年、東京・世田谷で『工芸喜頓』を開く。全国へ出かけて買い付けたうつわが評判に。

※この号で掲載したうつわは、作家ものなど、雑誌発売時に店舗に同じものの在庫がない場合もあります。ご了承ください。

『クロワッサン』1032号より

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