くらし

心と体の専門家に聞いた、香りが心身にもたらす効果【降矢英成さん×小高千枝さん 対談】

  • 撮影・MEGUMI 文・板倉みきこ

自分を見つめ直して感覚を取り戻す。これから必要なこと。(降矢さん)

ウィルス問題が起きた今こそ、自分を見つめ直す好機と捉える。

小高 自身の心の状態がどうなっているか、理解するのも大事ですね。

降矢 自分の感情や心の機能がわからない、“失感情症”という人も少なくないのですが、心の状態を知るには、まずは自分の長所と短所を素直に認めること。最近、とても繊細で社会の中で生きにくい人を、“HSP(Highly Sensitive Person)”高度の感覚処理感受性を持つ人、という分類をする知見が注目されています。この傾向を持つ人は5人に1人の割合といわれ、決して特別ではない。短所と思われる部分も、自分の特性、個性として認識できれば、生き方も変わってくるでしょう。

小高 ネガティブな思考グセは、自分自身が作っているものですからね。

降矢 さらに今回の新型ウィルスの問題で、心の悩みが増えた人、不安に苛まれる人が増えた印象はあります。

ホリスティック医療の概念がわかりやすいと、降矢さんが用意してくれた説明画。

小高 気力、体力が落ちると、ストレス耐性も下がります。でも、不安で自分を見失ってしまう人は、想像力が欠如し、被害者意識が強い傾向が見られます。周囲のネガティブな情報に翻弄されないためには、自分の心の軸をしっかり見つめ直すこと。そのために、無意識下に働きかけてくれるアロマの力を借りるのは有用でしょうね。

降矢 特に、繊細で香りが好きな人には向いていると思います。さらに今の状況はもともと抱えていた問題がコロナ禍で露呈したのかもしれない。そう自分を見つめてみることが必要です。人はなんでも他人のせいにしたがりますが、そこに向き合わなければ、前に進めない。これまでは依存と他罰の時代でしたが、自己への感性や五感を取り戻し、自身の人生を生きるという確たる心を持たないと、これからは難しい。

小高 この時期、誰もが今までの価値観を強制的に見直せて、自分らしく生きる設定をし直す好機ともいえます。

降矢 そんなふうに前向きに捉えたいですね。これを機に価値観、自分の優先順位を問い直してみましょう。自分は何が大事と思って生きているのか、この状況はどうなのだろうか、意外とわからないものですから。時々でもいい、考えればいいんです。大人だからできることなのにやらずに放棄して、「私には何が向いていますか」「どうしたらいいですか」と聞くのはおかしいです。わからなければわからないで、そこからスタートすればいいんです。

小高 それこそ、ホリスティックな視点を持つ大切さが生きてきますね。

降矢 はい。生きやすいと感じる人が増えるよう、ホリスティック医療にできることがある、と期待しています。

俯瞰力を身に付けると心理的な問題も解決しやすくなります。(小高さん)

赤坂溜池クリニック
東京都港区赤坂1-5-15 溜池アネックスビル5F TEL.03-5572-7821 10時〜13時、15時〜18時(木曜16時〜19時) 休診日:火曜、木曜午前、土曜午後、日曜、祝日

降矢英成(ふるや・えいせい)さん●心療内科医。赤坂溜池クリニック院長。NPO法人日本ホリスティック医学協会前会長。医学生時代からホリスティック医学に関心を持ち、1997年に専門のクリニックを開業。

小高千枝(おだか・ちえ)さん●公認心理師、心理カウンセラー、メンタルトレーナー、コーチ。現代人の”心の免疫力”を高めるためのセッションを提供し、女性の支援活動にも積極的に従事。

『クロワッサン』1027号より

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