くらし

南 果歩さんが選ぶ、大人に希望をもたらす3冊の絵本。

幼い頃に感動と喜びをくれた名作を改めて読んでみたり、新たな作品に触れてみたり。絵本好きのおすすめはきっと私たちの曙光になる。
  • 撮影・黒川ひろみ

南 果歩(みなみ・かほ)さん
女優。主演映画『脳天パラダイス』、デンマーク・日本・ノルウェー合作映画『MISS OSAKA』が今年公開予定。絵本読み聞かせのボランティア活動も行っている。

『ラヴ・ユー・フォーエバー』

ロバート・マンチ 作  梅田俊作 絵  乃木りか 訳 岩崎書店 1,300円

大人も心が揺さぶられ、温かい気持ちに包まれる。

お母さんが、成長していく息子への愛を描いた絵本です。いくらやんちゃで手を煩わされていても、お母さんは夜、息子が眠った後に彼を抱きしめて歌を歌ってあげるという、愛の深さを感じずにはいられない物語。
大人になっても、息子を抱きしめてあげたいというお母さんの思いは変わらない。どんなに遠く離れていても、愛は変わらない。
この作品も、私が息子に読み聞かせしていた時の鉄板絵本でした。毎晩息子が選ぶ3冊を読み聞かせしていましたが、一番登場回数が多かったかもしれません。それはきっと、物語の途中でどんなに笑ったり面白がったりしていても、ラストシーンで読み手の私が必ず涙ぐむという、その変化が息子にとっても楽しかったのだと思います。「母さん、また泣いてる!」、毎回そう言われていたことも、良い思い出。ラストで大人になった息子が老いた母を抱きしめる場面は秀逸です。

『ぼく、お月さまとはなしたよ』

フランク・アッシュ 作 山口文生 訳 評論社 1,200円

素敵な勘違い、大歓迎! 前向きに生きるヒントにも。

優しいクマくんの勘違いから、大好きなお月さまとお話しして自分の気持ちを伝える姿が愛らしい、大好きなストーリーです。優しい言葉を投げかけると優しい言葉が返ってくる。当たり前のことだけど、それがとてもうれしいのです。考えてみれば、人生は錯覚と勘違いの連続。そういう意味でも、明るい勘違い、前向きな錯覚は大いにけっこうなことだと思えてきます。

この絵本は、私の息子の小さな時からのお気に入りの一冊でもありました。

『ベイビーレボリューション』

デイヴィッド・ ウィーズナー BL出版 1,800円

戦争地帯へと突き進む赤ちゃんたちの大行進。

最近買った絵本の中でも、お気に入りの一冊です。ロックミュージシャンでもある浅井健一さんの楽曲「Baby Revolution」を絵本化。〈ベイビー 一人では何もできないかもしれないけれど、みんなの力を合わせたら世界は変わるよ〉というストレートな言葉の数々。そして奈良美智さんのイラストも魅力的です。

アフターコロナで暮らし方が変わっていく中で、今の時代に必要なメッセージを投げかけていると思います。

『クロワッサン』1025号より

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※ 記事中の商品価格は、特に表記がない場合は税込価格です。ただしクロワッサン1043号以前から転載した記事に関しては、本体のみ(税抜き)の価格となります。

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