1978年制作の映画『ガールフレンド』。製作、監督、脚本をすべて女性が手がけ、女の友情を等身大で描いた作品として話題を呼びました。
スタンリー・キューブリック監督も絶賛したというこの映画を見てみたいと思ったものの、残念ながら入手困難で鑑賞できず。女性たちの感想を軸に作品を紹介している誌面から、ストーリーを追ってみることにします。
物語の舞台は、ニューヨーク。ルームシェアをしていたスーザンとアンの関係は、アンの結婚を機にぎくしゃくしはじめる。夢を諦めて結婚したアンと、夢を追いかけて独身のままでいるスーザンが、互いに抱く複雑な思い。女性ならば、一度は思い当たる節があるんじゃないかという“あるある”話です。
しかしこの映画が評判になったのは、その“あるある”をごく自然に、そしてきめ細やかに切り取ったから。言葉にならない感情の澱(おり)や、人間関係で生じるどうしようもないもどかしさ。名言にあるように、白黒つけられないあわいのなかに日々の生活のリアルさはあるのでしょう。
映画の本題とは少しずれますが、新型コロナの影響で、私たちの日常は先が見えない不安に覆われています。でもそれは、もともと生活のなかに潜んでいたもの。割り切れないものをなきものとするのではなく、その機微を味わうことこそが一日一日を生きるということなのだと、この言葉から連想しました。