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お菓子でも料理でも本をみているだけじゃ、いつまでたってもダメ――水野真紀(「トライアングル」店主)

1977年創刊、40年以上の歴史がある雑誌『クロワッサン』のバックナンバーから、いまも心に響く「くらしの名言」をお届けする連載。今回は、お菓子づくりのコツから学びの姿勢を教わりましょう。
  • 文・澁川祐子

お菓子でも料理でも本をみているだけじゃ、いつまでたってもダメ――水野真紀(「トライアングル」店主)

1979年2月25日号「洋菓子はやっぱりフランス流」より

お菓子づくりのエキスパート4人が、とっておきのフランス菓子のつくり方を教える記事。タルト・タタン(リンゴのタルト)、クレム・オ・レ(ライスプディング)などの本格レシピを、思い出話を交えながら伝授しています。

フランスで修業した人が多いなか、異色だったのはタルト・アマンディーヌ(アーモンドのタルト)のつくり方を披露した水野真紀さん。アクセサリーデザイナーを本職とする傍ら、四谷でビストロ風のレストランを営んでいるとの説明があります。

何が異色かといえば、二足のわらじを履いていることもさることながら、他の人はフランスで修業したり学校に通ったりしているのに対し、唯一独学であること。しかも、暇さえあれば帝国ホテルの厨房に入りびたり、そこでプロの技を覚えたというツワモノです。

そんな経験に裏打ちされた言葉が、今回の名言です。料理の腕を上げたいなら、実際につくっているところを見ること。そうしないと、パイ皮をどのぐらい練ればいいのかなど、微妙な勘所をつかむことはできないというわけです。そして、こうも言います。

〈外でおいしいものを食べたときは、作り方を教えてもらうし、現場も見せてもらう。自信のある店は、ちゃんと教えてくれるのよ〉

当時はお客が簡単に厨房に入れるほど、衛生管理がゆるかったのかなという疑問はさておき、たしかに我が身を振り返ってみても直接手ほどきしてもらった料理ほど、身につきやすいもの。情報を得るチャンネルがさまざまに増えたいまも、現場で人から教わることの有効性は失われていないことを、あらためて思い起こさせてくれる言葉でした。

※肩書きは雑誌掲載時のものです。

澁川祐子(しぶかわゆうこ)●食や工芸を中心に執筆、編集。著書に『オムライスの秘密 メロンパンの謎』(新潮文庫)、編著に『スリップウェア』(誠文堂新光社)など。

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