「地球に海ができました。その海の中に、あるとき、目に見えないほどのちいさな生きものがあらわれました。」(『ながいながい骨の旅』より)
こんなやさしい文章や美しい絵の数々が並ぶ本展。テーマは、地球を舞台に繰り広げられる生命の進化だ。7冊の絵本から場面をつないだ展示室は、カラフルで楽しげな雰囲気。化石やはく製などの標本とともに展示することで、生命の進化の過程を丁寧に紹介している。
「絵本には本質的なことが分かりやすく書かれていることが多い。親しみやすいツールを通じ、世代を超えて自然科学への興味を持ってもらいたいと考えました」
本展の監修を務めた国立科学博物館の真鍋真さんはそう話す。
38億年前に生まれた単細胞から続く生命の歴史。魚類から私たちヒトへとつながる約5億年間の進化の過程。恐竜の一部が進化して鳥になり、現代に生きているという事実。大きく引き伸ばされた絵本の場面を標本や解説とあわせて見ると「そうだったのか!」と驚くことばかり。
「この展覧会を見た後、同じ館内の常設展を見たくなる人もいれば、ほかの博物館へ行きたくなる人、あるいは動物を観察したくなる人もいるかもしれません。本展をきっかけに、それぞれの興味を深めてもらえたらうれしいですね」
38億年前から続く壮大な生命の物語。自分が存在していることも、その物語の一部なのだと思うと、胸を打たれずにはいられない。
「誰もが自分自身に引き寄せて考えられるテーマだと思います。私たちにつながる大きな進化の流れ。その魅力やロマンを、きっと感じられるはずです」
自然科学に関する絵本100冊以上を集めた読書コーナーも。絵も文も素晴らしい本のページをめくれば、さらなる「そうだったのか!」の連続で、思わず読みふけってしまう。親子はもちろん、大人だけでも充分に楽しめる内容。わくわくする“生命の旅”へ出かけてみよう。