くらし

与論島、鳥取、愛知、スペイン……発酵文化を訪ねて、国内外へ。【井澤由美子さん】

見たことのない景色に出合い、多様な食や文化に触れて、自由な心になる。生きる喜びを満喫できるおすすめの旅を、旅上手の井澤由美子さんに聞いた。
  • 文・長谷川未緒
スペインの市場にて。オリーブの生産が世界第1位の国だけあり、オリーブの実の酢漬けも種類豊富。ワインのお供に最適。
果物に、発酵クリームを添えていただく。ヨーグルトよりも酸味が少なく食べやすい味。
塩漬けされ、乳酸発酵により肉の旨味が凝縮された生ハム。日本では手に入りにくい部位も豊富にあって、美味。
発祥の地・バレンシアで食べたパエリア。カタツムリ、ウサギ、インゲン、豆以外の具は入れないのが正式。
旨味たっぷりアンチョビは、今まで食べた中で一番の味。
紅茶のポットの看板がユニークな、イギリス・ノッティングヒルの美しい街並み。
イギリスではクラフトビール三昧。
「シャンパンを 冷やして!」本誌999号付録の保冷バッグは旅の愛用品。

「先人の知恵が詰まった発酵食の良さを伝えていくことは、私のライフワークです」と料理家の井澤由美子さん。旅の目的地として選ぶのも、発酵食文化が豊かな土地だ。

「娘がプレゼントしてくれた与論島旅行では、壺で丁寧に仕込まれた、きび砂糖が原料のきび酢に惚れ込みました。酸味がやわらかくて、島の人がきび酢でお刺身を食べるのだと教えてくれました」

島根県の発酵レストランをプロデュースするため通っていた山陰地方も、発酵食の宝庫だ。

「米どころなので日本酒がおいしく、麹で漬ける発酵食が豊富。鳥取の名人女性が塩梅よく塩漬けした後、麹で熟す鯖すしは果実の香りすらします」

土地の人が名人と呼ぶには、それだけの理由がある。使う原料も選び抜いているので、麹の生産者や鯖の漁師さんまで紹介してもらえて、奥深く知ることができたという。

気軽に作り手を訪ねるなら、愛知の三河地方碧南市での、みりんの醸造所巡りを。

「『杉浦味淋』や『角谷文治郎(すみやぶんじろう)商店』など、みりんメーカーがタクシーで回れる範囲に集まっています。事前に予約すれば見学できるメーカーも。みりんの奥深さを知ることができます」

発酵を追い求める旅は、世界にも広がって……。本誌995号でともに居酒屋を訪れた料理家の藤井恵さんと、イギリス、スペインへ。

「藤井さんとは、年に数回、ハシゴ酒をする仲。タイミングが合い、今年の夏に女ふたり旅をしました」

イギリスはノッティングヒルに滞在し、美しい街並みと紅茶やクラフトビールを思う存分楽しんだ。

「市場で食べたフィッシュ&チップスが、『どう作るんだろうね』とふたりとも言うくらいおいしくて、ビールも進みました(笑)」

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