くらし

自分らしい暮らしとは……。書籍『暮らしを手づくりする――鳥取・岩井窯のうつわと日々』トークイベントで触れた、山本教行さんの世界。

うつわが好き! やきものについて、もっと知りたい! と、思っているクロワッサン倶楽部オンラインメンバーが、書籍『暮らしを手づくりする――鳥取・岩井窯のうつわと日々』をたずさえて、代官山 蔦屋書店イベントスペースで行われた、刊行記念のトークショーに参加してきました。

料理が好きで、うつわに関心を持っていれば、どこかで一度は立ち止まり、見入ってしまう。岩井窯のやきものは、そんなうつわではないかと思います。

鳥取の山あいにある岩井窯は、吉田璋也やバーナード・リーチらに影響を受け、陶芸を志した山本教行(のりゆき)さんが開いた窯元。大変ファンが多く、喫茶や作品館などが集まる「クラフト館 岩井窯」には年間一万人もの人が訪れているのだとか。

以前、岩井窯の土鍋に汁ものが入ったとある料理の写真に思わず目が留まってしまったことがあります。汁ものはさることながら、土鍋の圧倒的な存在感……。その素朴さや温かみに心惹かれてしまいました。また、山本教行さんを紹介した「民芸」がテーマのテレビ番組を見た際には、「生活の中で、毎日無意識に使うもの、思わず手に取るものが民芸」と説明され、深く納得したことが思い出されます。

うつわ好きの私の心を刺激する岩井窯。その窯主・山本教行さんの暮らしや岩井窯のなりたちを振り返った『暮らしを手づくりする――鳥取・岩井窯のうつわと日々』が、スタンド・ブックスから11月26日に刊行されました。

『暮らしを手づくりする――鳥取・岩井窯のうつわと日々』(スタンド・ブックス 税抜2,000円)。帯は平松洋子さん。

常に「自分の暮らしがしたい」と強く思いながら、数々の運命的な出会いを経て、山本さんが窯を築いていく過程、42歳の時には台風の被害を受け、土石流に工房や窯など、すべてを流され失ったことも「かえってよかった」と、ものづくりの手を休めることなく前へ進み、現在へと至る姿がつづられています。

「つくる」「選ぶ」「買う」「使う」といった、ものとの付き合い方から、ものを見る目の養い方まで、山本さんの素朴で優しい語り口も印象的な一冊。
「いつも、ただ、ここに生きて」(序章)で、「暮らしを手づくりする」ということは、言い換えれば「自分の使いいいように、すべてを整えること」と、語る山本教行さん。

本の刊行を記念したトークショーが行われるということで、一度お目にかかってみたい、と参加することに。
トークショー前に、まず、うつわをじっくり見るため中目黒の「工藝 器と道具 SML」で開催されていた個展に行きました。

中目黒「工藝 器と道具 SML」での個展風景。
定番化した「牡丹文」。もくもくと湧きたつ雲のよう。

店内のうつわをじっと眺めたり、そっと手に取ってみたりしていると、どのうつわもどっしりとしていて、「何でもいらっしゃい!」と言ってくれているよう (笑)。

あこがれてやまなかった土鍋には、「クリームシチューが入ったらどうだろう……」。少し深さのある大きな長方形のうつわには、「ここには、たっぷりの揚げびたしだなぁ!」など、うつわに盛りつけたい料理のことを考え続けてしまいます。
また、陶板の展示もありましたが、どの作品も、ほっこりと心が温まるデザインが本当に素敵でした。

ひと通り店内を見た後、トークショーに参加するため代官山 蔦屋書店へ。どんなお話が聞けるのかより一層楽しみです。

11月18日に代官山 蔦屋書店で行われた山本教行×澁川祐子 トークイベント「自分らしい暮らしってなんだろう」。

岩井窯の窯主・山本教行さんお話のなかで心に残ったのは、
「僕は断捨離は大反対。だって、寂しいよ。」
というもの。

「先のことを考えるより、今日をいかに生きるか、いかに楽しむかを考えて、いつのまにか歳を重ねる。それが(僕の)人生になっちゃった。」と、爽快に言われた際には、まさに、私がいつも抱えている「すっきり暮らしたいけれど、好きなものは手元に置いておきたい」という心の葛藤がすっと楽になるようでした。

「ひとつのことを、つい喋りすぎちゃう。」と、おっしゃっていましたが、ざっくばらんで楽しいお話は、時間を忘れるほどでした。

さらに、「買ったものは使う、出合ったものは養分にする、なければ作る。また、便利より情緒が暮らしを豊かにする」
というお話にも非常に感銘。

今回のトークショーは私にとって、これからの「心地よい、自分らしい暮らし」について、あらためて見直し、考える機会となりました。

トークショー終了後は、個展の会場「工藝 器と道具 SML」での懇親会もありました。うつわに料理を盛って、実際に使ってもらう機会を大切にしているという岩井窯ならではの企画。

イノシシのカツ。美味しく調理してくれるからと、岩井窯にはたくさんの食材が集まってくるそうです。
鳥取といえば、らっきょう! 甘さがほどよい自家製らっきょう漬け。
本にレシピが紹介されている塩サバのアヒージョと、チーズの味噌漬け、サラダ。塩サバのアヒージョは是非作ってみたい!
土鍋で炊いた特製あんこで作ったおはぎ。ホクホクとした小豆と、品の良い甘さに感動!
胡麻をすりすぎたことから、偶然生まれたという「ごまかし」。口に入れると、ふわっとほどけて香ばしい胡麻が口中に広がる、とても美味しいお菓子でした。

料理は、岩井窯の敷地内で喫茶を営む山本さんの奥様の房江さんが、このイベントのために準備してくださいました。どの料理も美味しく、うつわとの調和も素晴らしかったです。
たっぷりの盛り具合に共感と好感!
そして、山本さんのトークに度々登場していた奥様の房江さん! お話から想像した通りの素敵な方でした。

うつわを見て、お話を伺って、うつわに盛られた料理までいただいた1日。『暮らしを手づくりする――鳥取・岩井窯のうつわと日々』を読み終わったときには、胸が熱くなるほどの感動を覚えました。

気に入ったうつわを買って、お金には代えがたい時間を得る……。
暮らしを豊かにするのは、大層なことではないと語りかけられているようです。「なんか知らんけどいいなぁ」という気持ちを、もっと大事にしていきたいと感じました。
これからの私のもの選びや、心地よい暮らしの指針となってくれることでしょう。

さて、鳥取の「クラフト館岩井窯」へは、いつ行こうかしら……。すでに、その計画で頭がいっぱいです。(クロワッサン倶楽部オンラインメンバー阿閉順子)

阿閉順子

これからの夫婦二人暮らしをより快適に、より穏やかに過ごせるよう奮闘中。積み重ねた経験と新たな気づきや学びを発信していきたい。

⇒ クロワッサン倶楽部オンラインメンバー

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