くらし

【山田ルイ53世のお悩み相談】神童の親としてのふるまい方に悩んでいます。

お笑いコンビ髭男爵のツッコミ担当で、作家としても活動中の山田ルイ53世さんが読者のお悩みに答える連載。今回は優秀すぎる子どもを持つ母親からの、周囲との付き合い方についての相談です。
  • 撮影・中島慶子

<お悩み>
神童だった山田様だったら何か対策や親としての心持ちをご存知かもしれないと思い相談させていただきました。
ざっくり書くと、3歳の我が子が若干神童寄りで周囲から浮いています。字の読み書きや計算ができるので小学校1年生位のドリルは大体こなし、円周率100桁とかもいつのまにか覚えます。
その事自体は親としても喜ばしいし、今後も力を伸ばしてあげたい。 習い事から使うドリルややり方まですべて真似をするお友達のママがいて、隠したり嘘をつくのも苦手なので最初は聞かれるままに答えていましたが、最近は断っても真似をされなんだか怖くなってきました。
周りのママから、習い事や勉強方法を聞かれることが増えてきましたが、自慢してるみたいになるのは不本意だしどう答えたら感じ悪くならないのかわからず、困っています。何を言っても嫌味にとられる場合もあり、そんなに勉強させられて可哀相と思われることもあり、子供自体には被害ありませんが私が嫌な思いをすることが増えてきました。
アドバイスいただけると嬉しいです。 (神童ママ/女性/パート勤務の30代主婦。3歳の子供が1人います。)

山田ルイ53世さんの回答

これは赤面もの。
いの一番に否定しておきますが、子供の頃の筆者は決して神童などではありませんでした。
中学受験の準備を始めたのが小6の夏からと非常に遅く、にもかかわらず合格し、
「なんか、俺って、"神童"っぽいな―!」
と勘違いし、優越感から天狗になったというだけの話。
それを、拙著『ヒキコモリ漂流記 完全版』では「神童感」と呼んでいますが、あくまで"感"であって、本物ではない。
人よりピークが早く来たという認識で、決して自分から、
「かつての僕は神童でして……」
などと、みっともないことは一度も口走っていないはず……と自己弁護はこれくらいにして。
正直筆者も、神童ママさんのご相談を一読した際、やや嫌味っぽく、自慢たらしい印象を受けたことを白状しておきます。
申し訳ない。
あくまで"やや"です。
息子さんは、3歳にして、「字の読み書きや計算」や「小学校1年生位のドリル」をこなし、「円周率を100桁」まで覚えたとのこと。
「親としても喜ばしい」、「今後も力を伸ばしてあげたい」と思うのは当然。
確かに彼の早熟ぶりには、目を見張るものがあります。
一方相談者ご自身の、「自慢してるみたいになるのは不本意」、「どう答えたら感じ悪くならないのか……」との言葉からは、周囲のママ友やそのお子さん達より、自分の(息子の)方が「上」だと実際に思っているのだろうと、そう勘繰ってしまいます。

……些か、キツイ言い方になりましたが、決して責めているわけではありません。
正直、訊いてくるママ友達もどうなのかなと。
いずれにせよ、「真似をするお友達のママがいる」、「断っても真似をされて怖い」と真似真似仰っている相談者。
真似をされるのが嫌で嫌で仕方がない。
今のところ順調な我が子、そしてその母親である自分に纏わりついてくる人達が許せない。
言ってみれば、芥川龍之介の『蜘蛛の糸』に登場する、カンダタと似たような心境。
あの話の結末はご存知でしょう。
もしかすると、相談者は、息子さんの力を伸ばす事よりも、周囲の子供達と"比べて"、先んじ、秀でている状態を維持したいだけ、他の子と"比べて"優秀な子供の母親でいたいだけ……なのかもしれません。
真似をされ、あなたの息子さんの才気、アドバンテージが"相対的に"下がるのを恐れている。
冷静にお考え下さい。
現時点で、神童と言えど、計算ができて、円周率100桁まで言えるだけの存在です。
「年齢の割に……」
といった範疇のことかもしれません。
「全然、大したことないんだけど……」
と謙遜しつつ、進んで教えて差し上げましょう。
ものまね芸人がブレイクした際、いち早く公認を与えた方が、ご本人様の株も上がるというもの。
同じことです。

一度お子さんに、
「○○君(息子さんのこと)のやってる勉強の仕方、他の人に教えて良い?」
と尋ねてみてはどうでしょう。
本当の神童なら、
「どうしてそんなこと訊くの?全然良いよ―!」
と答えることでしょう。
折角の才能の出現を、大人達の自尊心を満たすゲームに巻き込み、貶めてはいけません。

大体、同じ勉強法をして、相談者の息子さんと同じことが出来るようになるのであれば、それはメソッドが優れているということであって、生まれながらの才気、神童とは別のものです。
教えない、怖いと仰る相談者ご自身が、息子さんの才気を根こそぎ否定していることに早く気付いて下さい。

山田ルイ53世●お笑いコンビ、髭男爵のツッコミ担当。本名、山田順三。幼い頃から秀才で兵庫県の名門中学に進学するも、引きこもりとなり、大検合格を経て愛媛大学に進学。その後中退し、芸人へ。著書に『ヒキコモリ漂流記』(マガジンハウス)、『一発屋芸人列伝』(新潮社)、近著に『一発屋芸人の不本意な日常』(朝日新聞出版)。
⇒ 公式ブログ

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