仕事とプライベートをきっちり分けているせいか、浅野さんの素顔は意外と知られていない。
「家にまで仕事を持ち込むことはないですね。スイッチを切り替えて解放感に浸って、家族との時間を楽しんだり、好きな小説を読んだりして過ごすことが多いです」
うまくいかないことがあって落ち込む日もあるけれど、引きずらない。終わったことを悩んでも仕方ないと思うようにしているそうだ。
「後ろを振り返らないって言えば、かっこいいんでしょうけれど。たぶん根っから楽天的なんでしょうね。何とかなるという性格なんです」
何とかなる、という気持ちで生きていれば、一歩踏み出すこともできる。その最たるものが結婚だったかもしれない。2年前に浅野さんはパートナーと結婚生活を始めた。
「もともと結婚願望はありませんでした。ひとつの空間で他人と暮らす想像ができなくて。ずっと気ままに一人で生きてきましたから。なので、最初は不安もありました」
一人の時には「適当だった」食卓に、肉か魚、野菜、味噌汁、ごはんを並べる。
「イカフライは油がパチパチ跳ねますから、怖いですよ。ゴーグル、手袋、マスクをつけて挑むんです(笑)」
変化を受け入れ、何でも面白いと思えるようになった50代。
「いくつになっても人は変わることができると思いましたね。二人でいると私が知らない、違った視点でものを観ることができて新鮮です」
年齢には抗わない。生物として当たり前のことだと浅野さん。
「上手に受け入れたい。その上で、どう自分らしく年を重ねていくのかが大事ですよね」