「あの人やさしそう」
「何ごとにもきちんとしてそう」
そんなふうに感じるのは、その人の表情よりも、「実は、顔バランスによる印象にあるんです」と言うのはレイナさんだ。そのバランスとはーー。
●顔の重心が上か、下か。
●顔の重心が内側か、外側か。
「目の位置が上のほうにある人は、大人っぽく見え、逆に、下のほうにある人は額が広く、幼い印象を与えます。また、目の位置が内側か外側かで、しっかり者に見えたり、親しみやすく見えたりするんです」(こちらの記事を参照)。
上下、内外の重心を組み合わせたのが4つの顔パターンだ。
レイナさん(以下、レイナ) どの顔パターンも、プラスの印象とマイナスの印象と、2つの面があります。マイナスの要素を減らすことで、よい印象をさらに活かそうというのが「重心メイク」なんです。
杉山愛さん(以下、杉山) 私の場合、顔パターンはどれなのですか?
レイナ 愛さんは、大人っぽい美人顔。目が比較的上のほうにあって、これが上重心。また、目のバランスはちょうどいいのですが、眉頭がどちらかというと内側にあるので内重心。しっかり者で落ち着いて見えるというのがプラスの印象なのですが、マイナスの印象というのは、時には老けて見えたり、神経質に見えたりすることなんです。
杉山 たしかに。テニスの現役時代、試合などでは、「怖い」と言われたこともあります(笑)。
ヘアメイクアップアーティスト レイナさん。「マイナス点を少しだけカバー、するとよい点が活きるんです」
レイナ 試合中は怖くていいと思います(笑)。愛さんの場合は、TVの仕事も多いので、落ち着きの中にもやわらかな印象がほしいですよね。
杉山 海外の選手の中には、試合中、目力を強くするために、思いっきりアイラインを強くひいてくる人も。それでいて、パーティのときは、華やかなメイクをしてくる。自在にメイクで自分を演出していますね。
レイナ 愛さんは、ふだんはどんなメイクをしていますか?
杉山 講演のときなどは、あえてアイラインを強めに入れたり、口紅をしっかりつけたりしますが、ほとんどノーメイクですね。子どもがまだ小さいので、ゆっくり鏡を見ている時間がなくて。眉をちょちょっと描いて、ささっと口紅をつけるくらいかしら。
レイナ そのとき、今ある眉の形のまま描いてないですか? 口紅も、唇の形のまま色をのせていませんか?
杉山 はい。それではダメ?
レイナ 皆さん、そうなんです。でも、それだと印象は変わらない。変わらないどころか、かえってメイクで損してしまうんです。たとえば、私の場合。愛さんと逆で、目が外重心なんですね。親しみやすい顔の反面、間が抜けて見えてしまうんです。だから、眉は、眉頭はやや内側にきちんと描いて、アイシャドウも目頭にも入れるようにすると、親しみやすいというプラスの印象はそのままで、マイナスの印象が和らぐんです。
杉山 なるほど! では、私の場合は、上重心で内重心だから、下方向と外方向にメイクすればいいわけですね?
レイナ そのとおり。眉頭はぎゅっと描かないで、ふんわり薄い色をのせるくらい。そして、眉を外のほうに伸ばして、描き足すのは、眉の上じゃなく、下のほうに足してみましょう。