肉より野菜が有効? ダイエットの新常識Q&A
撮影・森山祐子 文・石飛カノ
Q.ダイエットでは肉より野菜が大事は本当!?
A.ウソ
最近では「肉食ダイエット」なる方法も話題に。一体、どちらがダイエットに有効なのか。栗原毅さんによれば、
「肉を食べるほうがダイエットには有効です。筋肉の材料であるタンパク質が不足すると、運動しても筋肉が合成されず基礎代謝が下がってしまいます。50代の場合、血清アルブミンの値が4・2以下になると〝かくれ栄養失調〟と判断されます」
アルブミンとは血液中の血清の中に最も多く含まれているタンパク質。血液検査でチェックが可能だ。下のグラフのとおり、日本人女性のタンパク質摂取量は時代とともに右肩下がり。2015年の40代女性のタンパク質摂取量は61.5ℊとますます低下している。
「20年前に比べて、日本人は魚や豆を食べなくなりました。その後、粗食のすすめということで肉は体に悪いという風潮に。これがタンパク質の摂取量が減っている理由です」
タンパク質不足→筋肉不足の傾向が強まっていることで、健康と体型の指標、BMI(体重㎏÷身長mの2乗)にも変化が。
タンパク質不足→筋肉不足の傾向が強まっていることで、健康と体型の指標、BMI(体重㎏÷身長mの2乗)にも変化が。
「これまではBMI22が最も長生きできると言われてきましたが、筋肉不足の傾向でさらに上のBMI24が長生き指標になっています。つまり、今まで以上に体重がないと長生きに必要な筋肉量が確保できないということです」
長生きしても見た目が太めではうれしいような哀しいような。だからこそ、タンパク質で筋肉を養うことが重要。
「筋肉が生まれ変わる速さは骨や関節に比べて圧倒的にスピーディ。野菜ばかりでなく、筋肉の材料のタンパク質、とくに吸収効率のいい肉を取り入れる。そして適度な運動で基礎代謝を上げるというのが正解です」
Q.朝食を抜いても太らない
A.微妙
朝食をしっかり食べて午前中からしっかり動いて代謝を上げ、昼のドカ食いを防ぐ。それが太らない秘訣、と長らく信じられてきた。最近ではこの朝食信仰に「?」マークが点灯中。
ドイツのミュンヘン大学の研究では、朝食をしっかり摂る人はそうでない人に比べてカロリーを多く摂ることはあっても決して少なくなることはないと報告された。朝もしっかり、昼夜もしっかり食べているということ。アメリカの研究機関の調査でもダイエットに成功した人のうち78%は朝食を摂っていたが、残りの22%は朝食抜きでも同様に痩せたとのこと。
「朝食を食べないと、軽い飢餓状態になり、その分栄養の吸収力が高まります。そこで何を食べるかが問題。朝食を抜くか抜かないかというより、食事の度にいかに血糖値を急上昇させないかが重要だと思います」
血糖値が急上昇すると膵臓から大量のインスリンが一気に分泌されて脂肪合成が促されてしまう。とくに朝食抜きの場合は、ただでさえ吸収がよくなっているので血糖値の急上昇が起こりやすい。
「カレーライス、ざるそば、回転寿司などは血糖値を上げる代表的なメニュー。昼は野菜と肉、卵などを食べ、少量のパンまたはごはんを食べるようにするのがおすすめ」
ちなみに、朝食は体内リズムから考えても摂るにこしたことはないが、やはり血糖値を上げるオレンジジュース+パンのようなメニューはNG。ナッツ+ゆで卵+野菜ジュースのように、できるだけ血糖値を上げずに、エネルギーが長持ちするものを。
『クロワッサン』941号より
●栗原毅さん 栗原クリニック 東京・日本橋院長/東京女子医科大学教授、慶應義塾大学教授を経て、現職。肝臓や消化器など内科全般の診療、およびメタボ指導に努める。
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