温めてほぐして、じんわり養生——東洋医学の知恵で痛みとさよなら
イラストレーション・洞智子 構成&文・板倉みきこ
ツボを生かしたセルフケアで不調を改善
鍼灸のベースとなる東洋医学では、痛みなどの不具合がある場所は、気(エネルギー)・血(血液)が不足したり、滞っている状態だと捉える。そのため、滞りがあるなら巡りをスムーズにし、足りない部分には気血が集まるように補うのが治療の基本だ。
「整体やマッサージに行って、施術後に少し改善したように感じるのは、滞っていた気血が流れるからです。ただそれは一時的なもの。毎日セルフケアを行えば、快適に過ごせる時間が増えたり、傷ついた場所があれば、治癒が早まることも期待できます」(鍼灸・あんまマッサージ指圧師・柳本真弓さん)
鍼灸治療でお馴染みなのが全身に361個あるツボ。鍼や灸などで刺激を与え、治療や不調予防に役立てている。
「不具合や痛みがある場所を直接刺激しなくとも、関連するツボにアプローチしたほうが効果があったり、また回復が早い場合が多いという点が、メリットだと考えられます」
また、ツボに加えて不調改善に役立つ体の捉え方も覚えておきたい。
「股関節と肩関節など、形が似ているものは対応していると考えます。股関節が痛む場合は肩、膝の不具合には肘にアプローチするといいんです。また、右利きの人は左腰が張っていることが多く、使い過ぎの影響は対角線に出がちです。その点から、左の股関節に不調を抱える人は、右肩のコリを解消すると改善する場合がよくあります」
東洋医学らしい考えが、人体のフラクタル(相似性)。局所は全身に、全身は局所に投影される、と見立てる。
「手の中にも全身を投影するので、膝や股関節に該当する場所を手軽にほぐせます。セルフケアは、マメに行うことが大事なので、取り入れやすい方法を日々実践してほしいです」
柳本さんに提案してもらったのが、続けるほど変化を実感できる、日中の簡単ケアと、入浴後に行うスペシャルケアの2つ。冷えで気血が滞りやすい冬、ぜひ役立ててほしい。
治療効果も実証されている体の捉え方
股関節と肩、膝と肘が対角線で関連し合う
不具合が出ている場所だけでなく、形状の似た場所、対角線にくる場所を治療対象とする。体の使い方の左右差を整えたり、痛みがある場所を直接刺激しにくい時にも役立つ。
全身の縮小図や情報を手の中にも見出す
細胞一つにも全身の縮小図を見出すのが東洋医学の基本。手の中にも臓器を含めた全身を反映させる。手には多くのツボがあり、刺激することで気血の巡りを改善できる。
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