からだ

内臓のストレッチで腸を元気に、1分太極拳に辛酸なめ子さんが挑戦・実感。

ゆっくりと体を動かしている太極拳がなぜ腸活にいい?
その根拠を確かめるべく辛酸さんが教室の門を叩く!
  • 撮影・小川朋央 ヘア&メイク・大谷亮治 構成&文・堀越和幸
左・辛酸なめ子さん 漫画家、コラムニスト 右・楊玲奈さん 楊名時太極拳 師範

太極拳が腸活にいい!? という情報を聞きつけて、この日、辛酸なめ子さんが駆けつけたのは、〈楊名時太極拳〉師範、楊玲奈さんの教室。

「毎日デスクワーク中心の生活なので体がもうガチガチ、胃や腸も常に張っている感じなんです」

との辛酸さんの訴えを、楊さんは余裕の笑顔で受け止める。

「90分のクラスをぜひ体験してみてください。それだけでだいぶ変わると思いますよ。それが終わったら、“家に持ち帰れる動き”もお教えしますね」

ゆっくりとした足の運び、宙になだらかに描く手の軌跡、そもそも太極拳はなぜ腸活に効くのか?

「ひとつは鼻呼吸をすること。鼻呼吸で動くと自ずと腹式呼吸になり、全身の血流がよくなります」

他の生徒さんたちに混じって、見よう見まねで楊さんの動きを追っていると辛酸さんはすぐにこのことを実感。

「本当。穏やかな動作なのにじわじわと体が温かくなって、指先まで血が巡っているのを感じます」

太極拳は不思議な運動だ。ゆっくりとはいえ全身で動いているにもかかわらず、行っているうちに平時よりも呼吸数が落ちてくるのだという。

「それだけ深い呼吸になっているということです。そしてもうひとつのメリットとしては、腸のマッサージやストレッチ効果があるということです」

生徒さんたちのキャリアはまちまち。初心者でも上級者と行えるところが太極拳の良いところ。

やってみるとわかる。大きく息を吸いながら手を持ち上げクロスさせ、次にゆっくりと息を吐きながら手を下ろしてみよう。その時、それを行う人のお腹はどうなっているか?

「内臓が伸びている感じがします」との辛酸さんの答えに楊さんはニッコリ。

「そうなんです。単純な動きでもゆっくりと深い呼吸で行うと横隔膜が震えて、内臓が刺激されるんですよ」

「わかります。何かお腹がぐるぐる鳴る感じがしました」

「はい、教室ではよくそんな音が聞こえますし、ときどきおならが出てしまう生徒さんもいるくらいです。ちなみに今行った動きは“十字手(じゅうじて)”と言います」(下写真参照)

一通りのレッスンを終えて、うっすら汗をかく辛酸さん。ゆっくりと動くということは思ったよりも難しかった、というのが辛酸さんの率直な感想だ。太極拳では上半身を「虚」、下半身を「実」として捉え、実の安定を図ることが上達の鍵となる。

動きに集中する辛酸さん。「実はこの動きに向き合うことが太極拳では大切なんです」(楊さん)

「足元が安定すると姿勢が安定します。それは片足立ちの時もそうで、重心をかける実の足がしっかりすると、浮かせた足、虚の足もゆっくり自由に動かすことができる。私はそれを“おしゃれな虚歩”と呼んでいます」

「楊先生はきっとひどい揺れの電車に乗ったりしてもよろけたりしないんでしょうね」

「はい、大丈夫だと思います」

この日、楊さんが持ち帰り用に辛酸さんに授けた動きは3つ(それぞれ下写真参照)。まずは、基本となる立ち方の立禅(りつぜん)。これで太極拳本来の目的である“心・息・動”の真髄(ゆっくり動くと呼吸が落ち着き、呼吸が落ち着くと気持ちが落ち着く)をイメージしてみる。さらには基本の動きとなる甩手(すわいしょう)に先ほどの十字手。私たちもさっそく実践してみよう!

太極拳の基本の動き

立禅(りつぜん)

全ての動作の基本となる姿勢。肩幅程度に足を開き、肩の力を抜き、腕は下ろす。呼吸は鼻で行い腹式呼吸を意識して、次第に深く長く吐いてみよう。

甩手(すわいしょう)

立禅の姿勢から両腕を左右に広げ、左右交互に上体をひねり、腕を振る。肩や背中の緊張がほぐれるように。これを朝の1分間、毎日続けるといい。

十字手(じゅうじて)

右・両足を肩幅程度に開いて、自然に立つ。 中・吸う息に合わせて両手を左右からゆっくり持ち上げ、額の上で十字手を組む。 左・手を胸の高さに下ろし、初めの姿勢に。1分続けてみよう。
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