からだ

善玉菌を応援し、胆汁酸を守るレジスタントスターチとは。

  • 撮影・青木和義 文・韮澤恵理 

消化されにくく、食物繊維のように大腸で善玉菌を応援してくれる。

レジスタント(消化されにくい)、スターチ(でんぷん)で、吸収しにくい炭水化物のことです。

炭水化物は糖と食物繊維からできていて、糖がエネルギーになりますが、同じ食材でも、温度によって糖の質が変わることがあります。

でんぷんは加熱するとアルファ化し、甘味や粘りが出ます。これはでんぷんが吸収のいい糖に変わった状態。ところが、再度冷やすと、消化されにくくなり、大腸で腸内細菌のエサになります。ダイエットにも腸にもうれしい変化で注目されているのがレジスタントスターチなのです。

冷やご飯や冷やしたいものほうが腸を元気にしてくれます。この性質を料理にも活かしてみましょう。

(冷えたご飯)炊きたてご飯より、冷やご飯やおにぎり。

炊きたての白米はでんぷんがアルファ化し、特有の粘りや甘味が生まれますが、これは吸収のいい糖です。冷えるとパサッとしてきますが、これは一度糊化したでんぷんが再び消化の悪い状態に戻ったためです。冷やご飯を温めずに食べるほか、おにぎりや寿司にすると冷めてもおいしい。米粉で作った団子なども冷めているので、レジスタントスターチです。

(ポテトサラダやマッシュポテト)冷たいじゃがいもはダイエットの味方。

ほくほくに蒸したじゃがバター、シチューや肉じゃがなどの温かいじゃがいもは、消化も吸収もいい糖です。じゃがいもを食べるなら冷やしたレシピがおすすめ。ポテトサラダやマッシュポテト、冷製ポタージュなど、冷たいまま食べるじゃがいも料理は、身近に少なくありません。満足感がありながら、摂取エネルギー量は少なくなるのがうれしい食材です。

(冷製パスタやマカロニサラダ)パスタ好きなら温かくないレシピで。

パスタ好きは多いけれど、小麦粉が原料の食材は食物繊維が少なくて糖質が多く、あまりおすすめではありません。それでも、あきらめたくないという人は、最近人気の冷製パスタを選んでください。ゆでた麺を冷水で締めているので、レジスタントスターチ効果が期待できます。コンビニでも買えるマカロニサラダやパスタサラダなども同様です。

(冷やし焼きいも)ホクホク焼きいもを冷ますと腸の味方に。

焼きいもは冷やして食べることをおすすめします。さつまいもは不溶性食物繊維が豊富で、腸内の善玉菌を元気に。食べるとおならが出るのは腸内細菌が食物繊維を分解し、水素などが発生するから。臭くないのが特徴です。

(コーン缶やコーンサラダ)冷たいまま食べるととうもろこしも優秀。

とうもろこしは糖質の多い炭水化物の代表ですが、冷やすとレジスタントスターチになり、腸に役立つ食材に。サラダなどにトッピングして食べるのがいい。

(豆サラダ)豆類はゆでたら冷やして食べる。

いんげん豆、あずき、大豆、ひよこ豆などの豆類は、ゆでたあと冷ますとでんぷんがレジスタントスターチになります。冷たいままサラダなどで食べましょう。

(はるさめサラダ)温かいスープより、冷たいサラダがいい。

春雨はじゃがいもや緑豆が原料で、糖質が多いのですが、ゆでるとかさが増え、満足感があります。冷やすと吸収されにくくなるので、サラダにして食べたい。

(フレーク)もち麦や大麦のフレークが、 胆汁酸ダイエットに効果的。

加熱した穀類を乾燥させたフレーク類は、冷めたでんぷんなので、レジスタントスターチ効果があります。コーン、玄米など素材はいろいろですが、最近では、胆汁酸ダイエットに効果的なもち麦や大麦のフレーク類も販売されているので、利用するとダブル効果が。

(米粉パンや全粒粉パン)米粉や全粒粉パンを焼かずに食べたい。

パンは焼きたてより冷めたまま食べたい。小麦粉は食物繊維が少ないので、米粉のパンや全粒粉パンをサンドイッチなどにして、焼かずに食べるのがおすすめです。

(山いも)冷たいまま食べれば消化もよい健康食。

山いもは炭水化物は多いのですが、とろろや酢の物のように、生のまま食べるとレジスタントスターチ効果が。消化酵素が多いので、生でもおいしく食べられます。

胆汁酸ダイエットとは

おすすめの5つの食材をしっかり食べて新鮮な胆汁酸を増やし、脂肪細胞を直接刺激して燃える体を作る胆汁酸ダイエットは、慶應義塾大学政策・メディア研究科 教授の渡辺光博さんが発案したメソッド。

「胆汁は、肝臓で作られて、胆たん嚢のうに蓄えられ、人が食事をすると、消化を助けるために分泌される消化液です。とくに脂質を乳化して小腸から吸収しやすくするのが胆汁の役割。その主成分が胆汁酸なのです」(渡辺さん)

胆汁酸ダイエットを成功に導く5つの食材

【杜仲茶】
アスペルロシドの働きで再吸収を抑え新しい胆汁酸を作る(3gの茶葉を煮出して1日1リットル)

【長粒米(インディカ米)】
難消化な高アミロースで食物繊維のように働く(1週間に2回、1回150g)

【もち麦】
β-グルカンが腸を掃除、血糖値も上げにくい優等生(1週間に3〜5日、ごはんなら150g、フレークなら50g)

【納豆】
粘りは食物繊維フルクタン。大豆は消化のいいたんぱく質(毎日に1〜2パック)

【海苔】
良質な食物繊維が腸を掃除。ポルフィランが胆汁の劣化防止(毎日全型2枚)

渡辺光博

監修

渡辺光博 さん (わたなべ・みつひろ)

慶應義塾大学 政策・メディア研究科教授 医学部、環境情報学部教授 ヘルスサイエンスラボ代表

東北大学遺伝子実験施設 博士前期課程修了後、フランス国立ルイ・パスツール大学分子生物学科博士課程卒業。2006年イギリスの科学誌『ネイチャー』に「胆汁酸の調整で肥満と糖尿病が改善」を発表。テレビや講演などで広く活躍。
※プロフィールは雑誌掲載時の情報です。

『Dr.クロワッサン おなかが凹む胆汁酸ダイエット。』(2021年4月13日発売)より。

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