WHOも効果を認めた、ツボ刺激が腰痛を改善!
文・山下孝子 イラスト・宇和島太郎
(腎虚)に効くツボ
腎の機能を司る経絡「腎経」のツボを刺激するとよいとされています。特に、体の冷えを改善するため、貧血やむくみを取り除く効果があるツボや、「立つ」ことで負担がかかる足腰の疲れを軽くするツボを刺激しましょう。
[位置]
腰のくびれ部分の背骨から、指2本分外側。へそと同じ高さ。
[効能]
慢性腰痛に効果があり、むくみや消化不良なども改善してくれる。
[位置]
内くるぶしとアキレス腱の間。
[効能]
貧血や足のむくみなどに効果的。こむら返りの予防にもよい。
[位置]
足の指を曲げた時に、足の裏にできるくぼみの真ん中。
[効能]
むくみだけでなく、体のだるさ、高血圧、不眠、頭痛などにも効果的。
(肝虚)に効くツボ
肝の機能を司る経絡「肝経」のツボを刺激するとよいとされています。特に、「歩く」ことで負担がかかっている足腰の疲れや、膝関節の痛みなどを改善するツボを刺激しましょう。
[位置]
膝を曲げた時に内側にできるシワの先にあるくぼみ。
[効能]
膝の痛みや関節リウマチの改善によい。
[位置]
内くるぶしから親指半分ほど前方にあるくぼみ。
[効能]
腰痛(特にぎっくり腰)や足・腹部の冷えの改善によい。
[位置]
足の甲側で、親指と人差し指の骨が交わる場所。
[効能]
腰痛や肝臓病、さらに貧血や気力の回復にもよい。
(脾虚)に効くツボ
脾の機能を司る経絡「脾臓」のツボを刺激するとよいとされています。胃腸の不調や腰の冷え・むくみを改善するツボを刺激しましょう。
●三陰交(さんいんこう)
[位置]
内くるぶしから指4本分上に移動した部分。
[効能]
冷え性や生理不順、下痢や更年期障害の改善によい。
●陰陵泉(いんりょうせん)
[位置]
向こうずねの内側をさすり、膝の下にある骨のでっぱった部分。
[効能]
便秘や頻尿の改善だけでなく、抜け毛や低血圧の改善にも効果がある。
[位置]
親指付け根の骨のでっぱりの後ろ側の、足の甲と裏の境目の部分。
[効能]
消化不良や便秘、さらに頭痛や不眠の改善によい。
(気虚)に効くツボ
気の流れを改善するには、腎虚、肝虚、脾虚のツボにプラスアルファする形で、ストレスの軽減や自律神経の乱れを整える効果があるツボを刺激しましょう。
[位置]
左右の乳首を結んだ線の中央の場所。
[効能]
ストレスや低血圧だけでなく、胸の痛み、低血圧、動悸・息切れ、不眠、眠気覚ましなどによい。
[位置]
手のひら側の手首に入った横ジワの中央から、指3本分ひじ側に寄った場所。
[効能]
めまい・動悸の改善だけでなく、二日酔いや乗り物酔いなどにもよい。
[位置]
左右の耳の上端を結んだ線と、眉間から後頭部に伸ばした線が交差する場所。
[効能]
頭痛や自律神経失調症だけでなく、高血圧、のぼせ、不眠などにもよい。
熱によるツボの刺激・お灸
ツボの刺激は指で押したりつまんだりするのが基本ですが、ツボ押し棒などの道具を使えば、素手よりも小さい力でツボを刺激できます。それ以外でおすすめなのが、お灸(きゅう)を使った熱によるツボ刺激です。
お灸は草団子などに使われるヨモギの葉から作った「もぐさ」が燃える熱でツボを温めます。お灸はゆっくりと燃えるため、熱がじんわりと伝わることで、血行がよくなり、体調不良を改善してくれます。お灸は鍼(はり)とともに、東洋医学を代表する伝統的な療法なのです。
昔ながらのもぐさのお灸は、熱さの調節が難しく、「お灸を据える」という言葉があるように、かつては「熱さを我慢するもの」というイメージがありました。しかし、最近はもぐさを和紙で巻き、紙パルプの台座と組み合わせることで温度をコントロールできる商品が登場しています。
さらに、火を使わないタイプの商品も開発され、服を着たままお灸を使えるようになりました。
男性よりも筋肉量が少ないうえ、筋肉の衰えも早いために、女性は年齢を重ねると冷え性がひどくなる人が少なくありません。そのため、指で押すだけでなく、時々ツボにお灸をすえて温めてあげるのも、健康のためにはおすすめです。
ただし、顔や頭部のツボに使わないなど、「使用上の注意事項」がいくつかありますので、使用前に説明書をよく読むようにしましょう。
火を使うタイプ
和紙で巻いたもぐさを紙パルプの台座と組み合わせたもの。底面のシールをはがすと肌に貼って固定でき、温度別に商品展開している。
火を使わないタイプ
上部と底部のシールをはがして肌に貼り付けると、3時間ほど40~50度の温熱が持続する。
裏面のシートをはがして肌に貼り付けると、4時間ほど40~50度の温熱が持続する。
『Dr.クロワッサン 脊柱管狭窄症、骨粗しょう症、ぎっくり腰もスッキリ! 腰痛の新常識』(2020年8月27日発行)より。※お灸の写真提供:せんねん灸株式会社
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