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クラミジア感染症にかかってしまいました。この年齢で、ショックで。【89歳の現役婦人科医師 Dr.野末の女性ホルモン講座】

産婦人科医師の野末悦子さんに教わります。

撮影・岩本慶三 イラストレーション・小迎裕美子 構成・越川典子

Q. クラミジア感染症にかかってしまいました。 この年齢で、ショックで。

性行為感染症にかかってしまいました。クラミジアでした。今年の初めにおつき合いした男性からうつされたようです。かゆいなと思っていたら、おりものやにおいが変わってきました。すぐに婦人科の処方薬で治療しましたが、その男性とは気まずくなり、別れてしまいました。これからも長いおつき合いをと願っていただけに、ショックが大きくて。先生に聞いていただきたいと思いました。(J・Sさん 53歳・会社員)

A. 性感染症のリスクは、どの世代にもあります。セイフ・セックスを考えて。

J・Sさん、残念でしたが、次は、セイフ・セックスについて話し合えるほど信頼できるパートナーを探しましょう! 一点、気になっているのは、無症状感染している男性に、感染のことを伝えたかどうかです。

さて、性感染症(STD)は、皆さんが思っているよりずっとポピュラーです。性行為の活発な20代の罹患率が高いのは当然ですが、ほかの世代も少なくありません。実は日本は、性行為感染症に対して無防備な国で、先進国でHIV(エイズ)や梅毒が増えているのは日本くらい。性教育のばらつきもあり、教育以前にネットなどの偏った性情報にさらされることで、セイフ・セックスの概念が育たないのが一因でしょう。

年代別にみた性感染症患者数の割合(総数)

クラミジア感染症にかかってしまいました。この年齢で、ショックで。【89歳の現役婦人科医師 Dr.野末の女性ホルモン講座】

性感染症は無症状であることも多く、医療機関への受診につながりにくい面がある。妊娠の可能性のある年齢の場合、出産や新生児への影響も。正しい知識をもちたい。
資料:厚労省「感染症発生動向調査 平成23年」より

クラミジア感染症や膣トリコモナス症、膣カンジダ症は、罹患者の多い感染症です。感染が長引くと不妊の原因にもなりますので、かゆみや、おりものやにおいの変化、下腹痛などがあったら、すぐに婦人科へ。診断が下されたら、同時にパートナーも治療が必要ですので、必ず泌尿器科へかかるよう伝えましょう。

セックスの際は、たとえピルで避妊していたとしても、コンドームを使いましょう。オーラルセックスなら妊娠することがないから避妊具は不要、などと考えないでくださいね。のどに感染する場合もあります。

子宮頸がんもヒトパピローマウイルスの感染が原因です。初期の子宮頸がんは無症状ですので、定期的な検診でしか発見できません。症状としては、わずかな出血やいつもと違うおりもの、予定外の出血など。気になる症状があったらすぐに受診しましょう。もちろん、何もなくても定期検診は必ず受けることです。

※症状や治療法には個人差があります。必ず専門医にご相談ください。

セイフ・セックスは、自分と相手のカラダを守るため。(Dr.野末)

クラミジア感染症にかかってしまいました。この年齢で、ショックで。【89歳の現役婦人科医師 Dr.野末の女性ホルモン講座】
  • 野末悦子

    野末悦子 さん (のずえ・えつこ)

    産婦人科医師

    横浜市立大学医学部卒業。川崎協同病院副院長、コスモス女性クリニック院長、久地診療所初代所長、介護老人保健施設「樹の丘」施設長などを歴任。

『クロワッサン』1052号より

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