頚椎7番から繋がる12個の椎骨でできているのが胸椎(きょうつい)。胸椎とカラダの正面にある胸骨は肋骨(ろっこつ)で繋がれていて、心臓や肺など大事な臓器を囲んでいる。つまり、もともと大きな動きが得意な構造ではないということ。
とくに、胸椎は前に曲げる、後ろに反らすという動きが苦手。理由は椎骨の間にある椎間板が薄く、背骨の後ろの棘突起が長いから。これは、肋骨の中にある臓器を守るための構造と考えられる。
ただし、胸椎11番と12番は肋骨が短いこともあって、比較的、前後の曲げ伸ばし動作が得意。このため、胸椎を動かし慣れていないと、ふいの動作のときに痛めやすいともいえる。
また、胸椎は前後の曲げ伸ばしは苦手でも、「ねじる」という回旋動作は得意。首を除いた全身をねじる動きのほとんどは、胸椎で行っているのだ。こちらも、ふだん胸椎を動かし慣れていない人がいきなり回旋動作をすると、まわりの筋肉を痛めるリスクがある。
動かせる範囲があまり大きくない胸椎だが、それに甘んじて怠けていると頚椎や腰椎がかわりに頑張って動き、まわりの筋肉や関節に負荷がかかる。とくに現代人は姿勢の悪さや運動不足によって胸椎の動きが悪くなり、肩こりや腰痛に陥っているケースが多いので要注意だ。