からだ

スマホやパソコン作業で適正カーブが失われることも。頚椎の機能をチェック。

背骨のしくみと働きについて、鍼灸師であり指圧師の石垣英俊さんに教わります。
  • 撮影/岩本慶三 文/石飛カノ モデル/北川リサ スタイリング/高島聖子 ヘアメイク/村田真弓 イラストレーション/宇和島太郎、松元まり子

(頚椎)背骨の中でも動きの自由度が最も高い部位。

背骨の上部、7つの椎骨が連なってできている頚椎(けいつい)は、背骨の中で最も自由度が高く、動かせる範囲が大きい部分。

誰かに呼び止められたとき、くるっと首を回して振り向く動作は頚椎の回旋によるもの。これは、どんな体勢でも目を水平に保って大事な脳を定位置に維持するための機能。

(1) 頚椎の数は7つ
(2) 関節の角度は45度
(3) 屈曲、伸展、回旋など動きの範囲が大きい
(4) 頚椎1番と2番は特殊な構造

動かせる範囲が大きいだけに、安定性を保つことはとても重要。でなければ、振り向くたびに頭がグラグラしてしまう。このため頚椎は灰皿を積み重ねたような安定度の高い構造をしている。

また、頚椎の1番は厚みのある骨ではなく輪っかのような特殊な形。頚椎の2番にも他の椎骨にはない突起部分があり、この輪っかにすっぽりはまっている。頚椎2番の突起部分を軸にして頚椎1番が回転するというしくみ。頚椎の回旋動作の約5割はこの構造によってカバーされているので、頚椎の要ともいうべき部分だ。

振り向き動作は5割以上が頚椎1番2番の仕事。

スマホやパソコン作業で、適性カーブが失われることも。

まっすぐ立っているつもりでも、頭が前に出てしまう。壁を背にして立ったときに後頭部が壁につかない。原因のひとつは、頚椎の適正なカーブが失われてしまうため。

頚椎は本来なら前方向に微妙にカーブしている。ところが、スマートフォンやパソコン作業を長時間続けることで頭が前方に出て、カーブが失われてしまうことも。これが、いわゆるストレートネック。さらに、前弯カーブが失われるだけでなく、逆に後ろに向かってカーブを描く頚椎後弯の人も増えているという。

こうなると、前に倒れそうになる頭を支えるために首の後ろの筋肉に負荷がかかり続けることに。すると、肩こりや首のこりはもちろん、筋肉が緊張し続けることで周囲の神経が影響を受けて頭痛を引き起こすことも。

頚椎全体が後ろに出ている感じがしたり、真ん中部分が突き出ている感じがしたら、ストレートネックや後弯の可能性あり。

頭が前に出たストレートネックが肩や首のこり、頭痛の原因に。

前後左右に首を動かし、頚椎の機能をチェック。

頚椎の健康が保たれているかどうかは、動きをチェックしてみればすぐにわかる。

まずは頭を上下に動かしてみる。顎を上げてまっすぐ天井に視線を向けられればOKだ。次に首を曲げ頭を前に倒して顎を引き、視線を床に向ける。

このとき、まっすぐの動きではなく、鼻や顎が左右どちらかにズレたら頚椎が正常に機能していない可能性がある。

また、飲み物を飲む程度にしか顎を上げられなかったり、しっかり顎を手前に引き込めないときも同様だ。

鼻や顎をぶらさずに頭を前後に倒す。

次は首を左右に回してみる。頚椎を動かせる範囲は正面を向いたときのポジションを0度として左右に50〜70度。左右差があったりどちらかが50度も動かせないという場合は、頚椎にトラブルあり。

ただし、めまいの症状がある人や高齢者の場合は、無理をして顎を上げたり、首を左右に回しすぎないよう注意が必要。

正面から50度以上首を左右に回す。
石垣英俊

教えてくれたのは

石垣英俊 さん (いしがき・ひでとし)

鍼師、灸師、あん摩マッサージ指圧師

静岡県出身。臨床家の父親に鍼灸治療を師事。体の痛みや不調に悩んでいる人へ、よりよい施術、環境、アドバイスを提供すべく研鑽を積んでいる。神楽坂ホリスティック・クーラ(R)代表。著書多数。

『Dr.クロワッサン 痛みとコリをすっと消す、自分でできる整体』(2020年4月28日発行)より。

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