もっと知りたい、腸に直接働きかけるヨーグルトのこと。
さまざまな菌の名前がパッケージを飾るいま、ヨーグルトのことをもう少し知りたい。
発酵の名門、東京農業大学の専門家に教わりました。
撮影◦黒川ひろみ 文◦韮澤恵理
【ヨーグルトのつくり方】
牛乳に乳酸菌を加えて発酵させるのがヨーグルト。菌が乳糖などをエサにして繁殖する際に作る酸(乳酸)で牛乳のたんぱく質が固まる。古くはさまざまな菌が混ざり合って自然にヨーグルトができていたが、現在はメーカーが健康効果が高い独自の菌を培養して使っている。牛乳を脱脂して発酵させるのが「乳脂肪ゼロ」製品で低カロリーだが、脂質には脂溶性のビタミンや栄養素が溶け込んでいるので、乳脂肪ゼロがいいともいいきれない。
【ヨーグルトをたれに】
ヨーグルトをベースにしたたれは、味がしっかりしていて、塩分を控えても十分においしいので減塩に。サラダだけでなく、肉や魚にかけてもよく合う。
マスタードヨーグルトだれ
ヨーグルト大さじ4+粒マスタード大さじ1
カレーヨーグルトだれ
ヨーグルト大さじ4+カレー粉小さじ1〜2
ピリ辛醤油ヨーグルトだれ
ヨーグルト大さじ4+醤油小さじ2+ラー油適量
味噌ヨーグルトだれ
ヨーグルト大さじ4+味噌小さじ2
バジルオリーブヨーグルトだれ
ヨーグルト大さじ4+バジル4〜5枚+オリーブ油大さじ1
豆乳ヨーグルト
牛乳のかわりに豆乳を乳酸発酵させたヨーグルト。コレステロールを下げる、イソフラボンやオリゴ糖が摂れるなど大豆の健康効果も期待できる。
乳酸菌飲料
日本独自の発酵飲料で、ヨーグルトなどを原料にして水分や甘味を加えて作る。無脂乳固形分が3%以上は乳製品乳酸菌飲料という。
ブルガリアヨーグルト
紀元前4000年頃からブルガリアで伝統的に作られてきたヨーグルトで、ブルガリア菌とサーモフィラス菌による特有の酸味と風味、濃厚さが特徴。
ギリシャヨーグルト
水切り製法で水分を減らした少し硬めのヨーグルトで、濃厚でクリーミーな味わい。酸味が少なくてなめらかなので、料理などに幅広く使われる。
カスピ海ヨーグルト
カスピ海と黒海の間にあり、長寿で知られるコーカサス地方から持ち帰られ、日本に広まったとされる。クレモリス菌による独特の粘りが特徴。
もう一つの発酵乳製品チーズの話
ヨーグルトと並ぶ発酵乳製品がチーズ。牛ややぎ、水牛などの乳に乳酸菌を加えて発酵させ、さらにレンネット(凝乳酵素)を加えてたんぱく質を固めます。そこから水分(乳清)をきって固形になったものがフレッシュチーズ。表面に白カビをつけたホワイトチーズ、内部に青カビをつけて熟成させるブルーチーズ、さらにプレスして水分を抜いて熟成させる保存性の高い硬質チーズなどがあります。
チーズは高脂質で高カロリー、塩分が多いものも多いので食べすぎには注意が必要です。反面、必須アミノ酸をバランスよく含む良質なたんぱく質でカルシウムも多く、骨粗鬆症予防にも役立つ健康食品でもあります。
【代表的なチーズのつくり方】
青カビチーズ。固まった乳を細かくし、青カビをまぶして型に入れ、カビを繁殖させて熟成。
白カビチーズ。固まった乳を型に入れて水切りし、白カビをスプレーして表面で繁殖させる。
フレッシュチーズ。固まった乳から乳清を除いたもの。モッツァレラチーズなど。
『Dr.クロワッサン 免疫力アップの決め手、腸内環境を強くする』(2020年7月30日発行)より。