言わずと知れた元アスリートの杉山愛さんは、先日、第2子の妊娠を発表したばかり。以前にも増して体調に気を使う日々のなかで、明るく健やかでいられる秘訣を聞いてみた。
プロテニスプレーヤーとして世界のツアーを転戦していた頃から「唯一続けているルーティン」だというのが、医師の塩谷信男さんが提唱した「正心調息法」を取り入れた呼吸。
「簡単にいうと、腹式呼吸しながらポジティブなことをイメージする方法です。選手時代、試合で力を発揮できずに悩んでいた頃に出合いました」
やり方はとても簡単。仰向けに寝る、もしくは椅子に座った状態で、下腹部にある丹田を意識しながら深く腹式呼吸を繰り返す。このとき、いい結果や、なりたい姿を思い浮かべることが重要なのだという。
「自分で自分の脳を騙すというか、思い描いたイメージのほうに引っ張られていく感覚になるんです。そうすると実際にイメージどおりのいいプレーができたり、心と体が整いやすくなったので、私にはこの呼吸法がすごく合っているのだと思いました」
現役時代は、朝晩30分ずつしっかりと呼吸の時間をとっていたほか、試合中のわずかなタイミングにも呼吸で心身を整えた。
「テニスの試合では、パニック状態になってしまうことも少なくありません。それを自分一人でコントロールしなければいけないんですよね。失点してしまったとき、次のプレーまでの25秒間で気持ちを立て直せるかどうかが勝敗の分かれ道になるのですが、私はそのたびに深呼吸しながら、いいプレーをする自分のイメージを上書きするようにしてきました」