からだ

糖尿病専門医・山田悟さんの「新・糖質制限健康法」。

  • 文・高山和佳 イラストレーション・山下カヨコ 撮影・岩本慶三

ドクター山田健康法(5)ゆるやかな糖質制限では、油はどんどん摂っていい。

「油は血糖値の上昇を抑える」「油を控えるとエネルギーが消費しにくい体になる」……。そう聞いても、にわかには信じられませんが、山田さんはこの食生活を2009年からずっと続けています。

「以前はカロリー制限をしていましたが、結局、体重は落ちず、メタボ目前までいったことも。でも、この食生活にして数か月で学生時代の体重に。肌も蘇りました。よく使う油は、無塩バター、オリーブオイル、ラー油、ごま油、マヨネーズ、生クリーム。油は酸化させないことが重要なので、小さいサイズを購入するようにしています」

トランス脂肪酸(人工的な油)や過酸化脂質(古くなった油)以外はOK。油を使うと味わいが増し、塩分も抑えられる。

ドクター山田健康法(6)朝から動物性たんぱく質と、おいしい脂身を積極的に摂取。

朝食からしっかり肉や魚を食べる山田さんは、こう話します。

「朝食はもちろん、毎食たんぱく質を摂りたいですね。たんぱく質の摂取は、筋肉の維持や増加にもつながります。また、たんぱく質が足りなくなると、骨密度が低下するという報告もあります」

脂質は摂るべきなので、カロリー制限ダイエットでご法度の肉の脂身も積極的に食べているそう。

「肉の脂身など飽和脂肪酸の摂取量が多いほど、脳卒中発症リスクが少なかったというデータも。豚バラや手羽先など手軽なお肉を、脂身までおいしく食べています」

「鶏肉の皮やロースの脂身を避けて食べるのはもったいない」と、山田さん。肉は余すことなくいただくのが健康的。

ドクター山田健康法(7)ランチは、コンビニの低糖質メニューのことが多い。

ランチは、コンビニのものが多い山田さん。意外にも低糖質のメニューがそろっています。

「今は、低糖質を謳ったパンを販売しているコンビニもありますしね。よく食べるのは、豚しゃぶサラダに唐揚げの組み合わせ。この組み合わせはたんぱく質と脂質が摂れる低糖質メニューで、気軽に食べられるので気に入っています。甘味のあるおかずやご飯がどっさりのお弁当は、おすすめできません。糖質過多による食後の血糖の上下動が、眠気の原因になることも。昼下がりに眠い人は特に、ランチは低糖質がベストです」

間食にはアーモンドなどのナッツをひとつかみ食べています。

コンビニの豚しゃぶサラダのほか、タマゴサンドやツナサンド、唐揚げも実は低糖質。糖質量を表示する商品も増えているが、項目がない場合は炭水化物の数値をチェック。糖質量とほぼ変わらない。

ドクター山田健康法(8)自己血糖測定器で定期的に自分の食後血糖値を把握。

老化にもつながる高血糖。特に気にするべきは、食後血糖値です。

「食後血糖値の異常は、糖尿病発症の10年前から起こるので、早めに気づくことが未病対策にもなります。糖質量の多い食事が大きな原因ですが、どの食材にどう反応するかは個人差もあります」

そこでおすすめなのが、市販の自己血糖測定器の入手。山田さんも生活の中に取り入れ、定期的に血糖値を測っています。

「私は2か月に1回、腕に貼って2週間継続して測る測定器を使っていますが、まずは1回ずつ測れる薬局などの測定器で試してみるのも。実際に測ると、この食事でこんなに血糖値が上がるんだと、実感できると思います」

山田さんは、アボットジャパン「FreeStyleリブレ」を使用。

ココカラファインなどの薬局で手軽に血糖値測定。

全国の薬局などに設置されている検体測定室「ゆびさきセルフ測定室」。大手ドラッグストアチェーンのココカラファインでは、「血糖値」「HbA1c」「脂質セット(善玉コレステロール・悪玉コレステロール・中性脂肪)」の3項目の測定を、全国数十店舗で実施しています(詳細は公式サイトで確認を)。血糖値の測定は、1回500円。指先から採血して10秒ほどで測定できます。準備から結果までは5分程度。食後の血糖値のピークである、食べ始めから1時間~1時間半後に測れば、食後血糖値がわかります。測定器導入前に試してみては。

https://www.cocokarafine.co.jp/searchstore/CSsStoreTop.jsp

ドクター山田健康法(9)夕食は、糖質に注意すれば、 和・洋・中、何でもOK!

夕食は、大半は家で奥さんの手料理を深夜に食べるという山田さん。

「夜は、卵・肉・魚・大豆製品のうち3種類は必ず食卓に上がります。あとは、野菜系の前菜と、ご飯やパンを1人前の半分」

意外にも、外食では和食からフレンチまで何でも食べるとか。

「気をつけるのは糖質だけで、量は気にしなくていいので、結構食べられるものが多いんです。フレンチなら、お肉もパテもフォアグラも糖質は少ない。パンは一切れだけにしますが、バターをたっぷりつけていただき、最後はデザートの代わりにチーズで締めます」

お寿司も、小さく握ってもらえば、8貫ぐらいまでは問題なし。回転ずしは、シャリの糖度が高いこともあるので要注意。

ドクター山田健康法(10)毎晩、アルコールを 食事と嗜(たしな)むのも健康法。

山田さんは、食べることも、飲むことも大好き。毎晩、夕食とともにお酒も楽しんでいます。

「私が1晩で飲むのは、ワインボトル半分か、日本酒2合ぐらい。1食の糖質量に収まるよう糖質摂取量を減らした上で、飲むようにしています。週7日飲んでいますが、体重は増えていません」

何とお酒は、血糖上昇予防にもなるという報告もあるとか。

「パンを水と一緒に食べるより、お酒と食べるほうが血糖値が上がりにくかったという報告も。お酒は食事をおいしくするためにほどほどを楽しむのがおすすめです」

ワインは辛口なら糖質少なめ。日本酒は少々高いが、ほかの糖質を控えれば許容範囲。焼酎などの蒸留酒は、糖質ゼロ!
山田 悟

お話を伺ったのは

山田 悟 さん (やまだ・さとる)

糖尿病専門医、総合内科専門医、医学博士。

1970年東京都生まれ。北里研究所病院の糖尿病センター長として、糖尿病患者と接する中で、ゆるやかな糖質制限(ロカボ)を提唱。講演や著作活動も積極的に行う。著書に『糖質制限の真実』(幻冬舎新書)、『北里研究所病院 Dr.山田流「糖質制限」料理教室』(主婦と生活社)など。
●北里大学北里研究所病院/東京都港区白金5-9-1  TEL.03-3444-6161(代表) https://www.kitasato-u.ac.jp/hokken-hp/visitor/office_visit/appointment.html

『Dr.クロワッサン あなたも、すぐできる! 名医の健康法』(2019年9月28日発行)より。

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