からだ

すぐできる「インスタント瞑想」で脳をリフレッシュ。今すぐマインドフルネスを行うためのQ&A。

  • 撮影・青木和義 イラストレーション・鈴木衣津子 文・黒田 創

Q.一日にどのくらい、どんなタイミングですればいいのでしょうか?

「マインドフルネスは10秒、5秒、1秒でもできるもの。いつ何時でも、その気になれば通勤電車の中でだって可能です。もちろん食事の後や1時間おきなど、毎日定期的に行うのもいいでしょう」

立って行う場合は、足裏のどこで身体の重心を支えているか、そこに意識を向けてみましょう、と綿本さん。それ自体がマインドフルネスであり、自然と姿勢のバランスを取ろうとしていく。

「一瞬だけ行うのもいいですが、もし可能なら、朝に20分確保して、座りながら目を閉じ、呼吸を感じてみてください(次ページ参照)。20分経つと脳は状況や環境に適応すると言われ、じっと動かないその状態がさらにマインドフルネス効果を高めてくれるのです」

Q.正しい呼吸法を知らないとできないのでは?

「腹式や胸式とか、吸う、吐くどちらを深くするとか、息の回数を数えるといったことは一切気にする必要はありません。〝こうあらねばならない〟という考えを全て捨て、内側から湧き起こる呼吸をただただ見守るように、自然に感じる。それがマインドフルネスにおいて大事なことです」

それが大前提で、あえて呼吸にポイントを置くなら「お腹の下を何となく意識すること」だそう。

「下腹部に意識を持っていくと横隔膜の動きがよくなり、腹圧が高まって自然と姿勢がシャキッとし、気持ちが落ち着きやすくなる傾向があります。ただしそれも義務的に行うようになっては元も子もありません。今自分がどんな呼吸をしているのか、それを自覚するだけでいいのです」

Q.挑戦したことがありますが、どうしても雑念を取り払うことができません。

「それでまったく構いません! そもそも頭の中に浮かぶ物事は〝雑〟でも不要でもなく、その瞬間気になっていることなのだから仕方がない。その意味では〝雑念〟など存在しないんです」

マインドフルネス中に脳裏に何か浮かんでも〝ああ、今自分はこんなことが気になっているんだ〟と自覚するだけでいい。今そこにある感覚をありのまま受け取ることを大切にしたい。

「マインドフルネスが深まると心は結果的に空っぽな状態に近づきます。ではあるのですが、決して最初からそこを目指さないようにしましょう。義務や目標を捨て、結果を求めず、この瞬間の呼吸を感じる。それだけです。何が頭に浮かんでも肯定してあげましょう」

Q.瞑想をしてはいけないタイミングはありますか?

「怒りや悲しみなど、激しい感情に襲われたときは5秒、10秒と瞬間的に行えるマインドフルネスは有効と思われます。逆に、そうした感情のときに10~15分ほどかけて瞑想を行うのは、やや不向きかもしれません」

その理由は、長時間じっと座り続けることで、脳を支配してしまっているマイナスの感情が余計に増幅してしまうから。

「そんなときはむしろ長くしようとせず、マインドフルネスで充分です。怒りや悲しみの原因ではなく、今湧き起こっている自分の感情に気づき、肯定してあげることで気持ちが落ち着いていきます。あともうひとつ。10~15分の瞑想は就寝前はおすすめしません。熟睡しやすくなるなどメリットもありますが、瞑想しようとすると眠くなる癖がついてしまう。瞑想はできれば朝や昼間、空腹のタイミングがいいでしょう」

綿本 彰

綿本 彰 さん (わたもと・あきら)

日本ヨーガ瞑想協会会長。

インドをはじめ世界各国でヨーガや瞑想指導を行う。『一瞬で自己肯定を上げる瞑想法』(KADOKAWA)など著書多数。オンラインクラス 

『クロワッサン』1030号より

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