一時的に情報を記憶したり、同時に複数のことを処理するには、脳内の作業記憶、すなわちワーキングメモリの働きが大きく関係する。しかし脳が疲弊するとワーキングメモリの機能は低下し、それらをこなせなくなってしまう。
「脳が疲れるのは、時間や効率に追われて常に先のことを案じたり、過去の記憶に囚われるなどして意識の中に余計な“ゴミ”が溜まってしまい、その瞬間瞬間で発揮できる脳のポテンシャルが落ちてしまっているから。特に現代は“今打ち込めること”の意味が以前よりも薄れつつあり、未来や過去のことばかりに脳を支配される傾向が強くなっていると思われます」
そう話すのはヨーガ指導者の綿本彰さん。その“意識の中のゴミ”を掃除し、今この瞬間、目の前のことに意識を向けられるようになれば脳は本来のポテンシャルを取り戻せるのだそう。
「その一番の方法がマインドフルネス。たとえば、今、あなたはこの記事を読みながらどんな呼吸をしていますか? と問われたときに呼吸を意識することで、自分の身体や心の中に耳を傾けられるようになる。その感覚が肝となります。これを20〜30分続けると瞑想になりますが、いきなりは難しいので、まずは10秒、5秒、たった1秒でも構いません。ありのままの呼吸を感じ、一瞬だけ我に返ると“意識のゴミ”はプチ掃除され、脳はリセットされます」
マインドフルネスはすぐに行えるが、いくつかポイントがある。Q&Aにまとめたのでまずは押さえておきたい。