「ストレスがたまる」とか「ストレスを発散したい」などと安易に口にするけれど、そもそもストレスとは何だろう。
精神科医の奥田弘美さんによると、
「原則的には心と体の“いつもの状態”を乱す変化や刺激をストレスと考えます」
私たちの心と体は、常に一定の状態を維持しようとする恒常性がある。過度な興奮や落ち込みもなく、安らかな状態を保ちたいし、血圧や体温などは一定値をキープしようと自律神経が働いている。ところが何か起こると、気分の浮き沈みが生じたり、血圧や体温なども、変調を来してしまう。
「まん丸の風船やゴムボールに圧がかかると、へこみますよね。この圧が変化や刺激です。心というボールがへこんでも元に戻る程度ならばいいのですが、大きくへこんで跳ね返すことができず元に戻らなくなると、気分の落ち込みや睡眠障害などのストレス反応を引き起こします」
ストレスとなるのは、身内の不幸やリストラ、借金、人間関係のトラブルといったネガティブな出来事ばかりではない。結婚や妊娠・出産、昇進といったポジティブな出来事も、大きなストレスになる。身の回りの環境や人間関係で起こる変化や刺激は、大なり小なり日常生活に影響を及ぼし心身のエネルギーを消耗するストレスにつながると心得よう。
人生で起きる出来事によって生じるストレスを数値化した「ストレスマグニチュード」(1967年、米国の精神科医T・ホームズらが開発)。それを元に制作された現代日本版が下の表。順位は全50項目からの抜粋。