常盤貴子さんの無垢の美しさは生き方から。
女優、常盤貴子さんの“美”は、まさしく内面からくる美しさでした。
撮影・三宅勝士(D-CORD) スタイリング・市井まゆ ヘア&メイク・面下伸一(FACCIA) 文・入江信子
「透明感」という言葉はこの人のためにあるのかもしれない。清潔感あふれるクリーム色の肌はもちろん、笑ったり、指を組んだりといった、ふとした表情やしぐさからも、ふわりと透明感が漂う。その背景にあるものを探ってみると……。
「体の変化は自覚していますよ。20代後半、仕事が忙しかった時期に、調子が変わってきて。徹夜とまではいかないまでも大変な撮影が続いたとき、疲れから抜け出すのに時間がかかると感じるようになりました」と常盤貴子さんは振り返る。
それを乗り越えた秘訣を尋ねてみると、答えは意外にも、そしてシンプルにも「睡眠」。
「私、もともと寝るのが大好きなんですよ。休みの日は無理に活動的にするよりも、寝ることが今の私にはいちばん大切だと思って、もう心ゆくまで寝るというか。放っておいたら、12時間は寝てしまいますね。眠っている間に、“小人”が自分を治してくれているイメージです」
長く眠ることができる=若い証しというが、年齢に伴って、どうしても人は眠りが浅くなり、睡眠の質も落ちていくもの。ところが、
「心配事で寝られなくなるということもないんです。私、寝れば大抵どうにかなると思っているから(笑)。今日は寝つきが悪いかなと思ったら、あったかいアイマスクをするとか、好きな香りのルームスプレーを使うとか、楽しめることがいっぱいある。以前、ある人が、『寝られなくて死んだ人はいない』と言ったのも心に残っていて」
ある種楽天的な、こだわりすぎない考え方は、日々のスキンケアにも表れている。
「私、朝のケアは、全然真面目じゃないんです。洗顔したくないんですよ。面倒だから、ホットタオルか、拭き取るだけ。昔、野際陽子さんとその話で盛り上がったんですけれども、野際さんも顔洗うのが大嫌いで、お会いするたびに、『まだ洗っていませんか』って確認していました(笑)。でも、結果的に洗わないほうが、肌の調子はいい気がします」
むろん化粧水やクリームなどの「与えるケア」はきちんと行うが、過保護にはしない主義。与えすぎると、肌もなまけてしまいそうと考えているからだ。
「今、家でガーデニングをしているのですが、植物を見ていても、水のあげすぎはよくない、あげればいいってものじゃない。肌も同じです」
体の中からのケアは大事。でも、偏りすぎるのも居心地が悪い。
年齢を重ねるにつれ、美とは健康であることと思うようになってきた。だからこそ体の中からのケアは大切にしている。今、はまって朝晩飲んでいるのは、「ハーバード式野菜スープ」。キャベツ、人参、玉ねぎ、かぼちゃ100gずつに水1リットルを加えて煮て、できたスープを飲む。
「飲んでいると免疫力が上がる気がします。味つけをしないから、最初は物足りなく感じるけれど、続けるとまったく気にならなくなって、むしろ美味しく感じられるんですね。野菜からうまみが出るし、味覚も敏感になる。それから、できるときは1週間に1日くらい、食事で固形物を抜いています。完全なファスティングにすると回復食が大変なので、ヨーグルトやスープはOKにして。固形物を抜くと食習慣がリセットされて、意地汚く食べていた習慣から抜け出せる! 脳が勝手に必要だと判断して、無意識に行動していることがやめられる。いわば脳のリセットです」
話を聞いていると、ストイックな食生活を送っているようだが、
「いやいや、やっぱり悪いものって美味しいよね(笑)。友だちの名言に『美味しいのは油と塩』というのがあるんですけど、これはダメ、あれもダメと偏りすぎているのは居心地悪そうだなって」