皮膚科医に聞く、シワを防ぐために気をつけたい生活習慣。
イラストレーション・ナカイミナ 参考・『女医が教える、やってはいけない美容法33』
冬だからと、日焼け対策を怠ることなかれ。
紫外線量は気温に比例しない?
「はい、むしろ冬のように澄んだ空気だと反射されることなくダイレクトに地上に届くので、紫外線量は意外に多いのです。高度、緯度、空気のきれいさ、浮遊物質の量などが紫外線量に影響します」
慶田さんは、冬も下地はSPF50 PA++++のものを使っているそう。
「手先や首元など露出する部位にも塗ること。赤くヒリヒリする作用のある中波長の紫外線UV-Bは夏の半量近くに減りますが、真皮に届いてたるみやシワ、毛穴開きの原因になる長波長の紫外線UV-Aは冬でも降り注いでいます」
あかすり、カミソリはもってのほか。
あかすりや剃毛をすると、肌がツルツル、きれいになった気がする。
「それは角層が全部取れてしまっているからツルツルしている、最悪の状態です(笑)。特に洗浄剤をつけた状態で剃ったり、あかすりしたりすると、角層がはがれたところに界面活性剤がつくので、より肌が傷んでしまいます」
肌の乾燥や傷みはシワのもとに。
「顔の産毛を剃りたいなら、電動カミソリを使い、刃を肌に当てないよう浮いている毛だけをふわっと剃りましょう。あかすりに関しては、垢は自然に落ちるものなので、無理にする必要はありません」
冬のおしゃれは素材選びに気を使うべし。
冬は着るものの刺激も大きい。
「特に肌が弱い人にとってラメや、ツイードなどの冬の素材は要注意。長袖、厚手のインナーを着て肌に直接触れないようにしても、チクチクしてしまうことがあります」
チクチクすると掻いてしまう。
「肌を掻くことでバリアが壊れて、より潤いが奪われ、また痒くなって……の悪循環に。ウールはダメでカシミアならいいというわけでもなく、シルク混紡のウールのほうが、肌あたりがよいことも。マフラーなどの小物類も同様。実際に試着して、刺激を感じない素材を選びましょう」
肌荒れしている時こそ皮膚科治療をすべし。
肌が極端に敏感になっている時期は、ケミカルピーリングやフォトフェイシャルなどの皮膚科治療を敬遠する人がいる。
「季節の変わり目の乾燥や肌荒れ時でも、美容皮膚科の施術はできます。角層を溶かすと肌が乾くと思われがちですが、逆。水分量が増えてむしろ潤ってきます」
肌荒れや乾燥を放置したままだと、シワは加速していく。
「保湿は補うだけで根本解決ではない。自分の力でバリア物質を作り、角層内部に水分を保持できる状態にするためにも、一度、美容皮膚科治療をおすすめします」
慶田朋子(けいだ・ともこ)さん●皮膚科医。医学博士、「銀座ケイスキンクリニック」院長。各メディアで活躍中。近著『女医が教える、やってはいけない美容法33』(小学館)が好評発売中。
『クロワッサン』1010号より