今あるシワを救う乾燥ケア5つのトピック。
それは真実だけれど、春になれば復活、なんて甘く見ていませんか。
冷えた肌をふっくらみずみずしく。
寒い間の地道なケアで、今あるシワを深く刻みこまないようにしましょう。
撮影・玉置順子(t.cube) ヘア&メイク・レイナ スタイリング・白男川清美 モデル・松田珠希 文・小田芳枝
[トピック-1 ]ほかの悩みに気をとられ、“40代以降、乾燥に気づいていない人多数”。
冬の肌悩みの代表格とされる、乾燥。ところが意外にも40代以降の女性は、乾燥に対する危機感が薄いという驚きのデータが。
「年代別に肌悩みのアンケートをとると、乾燥を気にしている人の割合が多いのは10〜30代。40代以降になると、シミやたるみ、ほうれい線といった加齢に関する悩みが増え、肌が乾燥しているという実感をあげる人の割合が少ないという結果になりました」と語るのは、ポーラ化成研究員の仲村彩さん。
とはいえ実際には、加齢にともなって、潤いを保つために欠かせない細胞間脂質や、皮脂の量は減少している。目先のエイジングケアに走る前に、まずは肌トラブルの根源である乾燥にしっかりと向き合う姿勢が必要に。
[トピック- 2] 皮膚温度が下がると“タイトジャンクション”の結合がゆるみ、さらに乾燥。
肌の乾燥を防ぐため、大切な役割を果たしているのがおなじみのバリア機能だ。
「角層細胞の周りにある細胞間脂質とともに、肌のバリア機能を担っているのが、“タイトジャンクション”という門のような構造です。細胞と細胞をぴったり密着させて隙間をふさぐことで、肌内部からの水分の蒸散をくいとめているのです。ところが研究の結果、皮膚の温度が下がると、このタイトジャンクションがうまく形成されないことが判明しました。本来のバリア機能を発揮することができないため、細胞の間から水分が失われて肌が乾燥してしまう原因に」
冷たく乾いた空気にさらされる冬。肌表面の冷えは乾燥に直結すると心得て。
[トピック- 3] “隠れジワ”を放置すると、 “大ジワ”の出来上がり…。
乾燥すると肌表面が硬くなり、キメが乱れて小ジワが発生する。加えて、新たな課題として浮上してきたのが“隠れジワ”の存在だ。
「真顔のときは見えなくても、表情の変化にともなって現れるシワがあります。ポーラはそれを潜伏シワと定義し、研究を続けてきました。潜伏シワが目立つ肌は、真皮の下層が硬い。柔軟性が低いため表情を動かしたときの衝撃を吸収しきれず、肌表面だけが大きく揺れ、目尻等にシワが現れてしまうのです。さらに、表情の変化によって繰り返し皮膚が折りたたまれる場所には、好中球エラスターゼという分解酵素が増加しやすいこともわかっています。その結果コラーゲンが分解され、深いシワに繋がってしまうのです」
[トピック- 4] 肌の乾燥は“睡眠不足で進行する”。忙しい女性は要注意。
寝不足の朝は肌がゴワゴワと乾燥する……。そんな誰もがある経験は、実際に数字によっても裏付けられるそう。
「睡眠時間は、肌の水分量に影響することがわかっています。30〜50代の女性を対象に、6時間睡眠の朝と3時間睡眠の朝、それぞれ下頰の水分量を測ったところ、3時間睡眠のほうが15%以上も水分の蒸散量が多かったのです。睡眠不足によってバリア機能が低下し、その結果、水分の蒸散が促進されていると考えられます」
いくらスキンケアをがんばっても、睡眠が足りなければ非効率的。世界的にみて睡眠時間が短いとされる日本女性、美肌のためには過酷な生活サイクルの見直しを。
[トピック- 5] 滑らかな肌を保つには、“紫外線対策”とともに、“油分を補う”お手入れを。
ではこれから、シワの原因となる冬の乾燥を防ぐためにはどうすべき?
「まず、肌のバリア機能をサポートするケアが大切です。冬でも少なからず紫外線が降り注いでいるので、UVケアは通年行って肌をしっかりと守ることが基本。水分だけでなく、油分をきちんと補うことも意識しましょう。化粧水を使ったあとは、乳液やクリーム、美容オイルなどでしっかりフタをして、水分の蒸散を防いで。乾燥してスキンケアのなじみが悪い……という方は、洗顔後にブースターを使うのもよいでしょう。また、見落としがちなのが洗顔のときのお湯。熱いお湯だと細胞間脂質などの必要な成分まで流されてしまうので、洗顔は水かぬるま湯を心がけて」
仲村 彩(なかむら・あや)さん●ポーラ化成 フロンティアリサーチセンター研究員。乾燥やバリア機能に関する研究を担当する保湿のスペシャリスト。自身も保湿スキンケアに注力し、一年を通して日焼け止めを使い、毎日のシートマスクも欠かさない。
『クロワッサン』1010号より
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