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【常備菜レシピも!】身近な食材でも効果あり!薬膳の力で不調を早めに退ける。

寒さが厳しさを増すこれからの季節。そんな冬にこそ表れやすい体の不調は、薬膳の力を借りて乗り切りたい。
  • 撮影・高杉 純 文・保手濱奈美
ちづかみゆきさん●美容薬膳研究家。国立北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)で薬膳を学んだのち、国際中医薬膳師資格を取得。薬膳料理教室「meixue(メイシュエ)」主宰。

薬膳は、体によさそうではあるものの、「難しい」「特別な材料が必要」と思っている人もいるのでは。しかし、ちづかみゆきさんが提案するのは、身近な食材でできる薬膳料理。

「食材が持つ働きや、食材同士の組み合わせ、調理法による効果を知れば、スーパーで手に入るいつもの材料を薬膳料理に発展させることができます。薬膳には、体を温める、冷やすといった効能がありますが、取り入れ方としては、足りないものは補い、余分なものは排出するなど体調に合わせるのが基本です。病気の治療というより、予防を重視しています。今回、生薬と呼ばれる食材も使いますが、いわゆる薬膳で思い浮かべられるような入手しにくいものではなく、ねぎや生姜など、普段使いの食材であり、生薬でもあるものです。簡単に、おいしく作れます」

冬はなんといっても気温の低下による不調が心配。薬膳で退けるには?

「まずは冷え対策として、体を温めること。中医学でいう『補陽(ほよう)』『温裏(おんり)』『散寒(さんかん)』などの、体を温める食材を、温かい料理にして食べましょう。そして、『補気(ほき)』。“気”には体を温め風邪などに対するバリア機能を強化する役割があります。特に冬は、積極的に食事で補っていきたいですね。寒さによって気や血の巡りも滞りやすくなるので、『理気(りき)』『活血(かっけつ)』で巡りを促します。さらに、冬はあまり汗をかかず、水分代謝を腎臓に頼りやすいため、腎臓を労る『補腎(ほじん)』も必要です」

これらの心がけに基づく「体の地力を上げる常備菜」で冬を元気に乗り切る基礎を作り、一方で、風邪の症状が出始めてしまった際には、「ひき始めの風邪に対処するレシピ」で早めに養生を。どれも薬膳のイメージを覆す見た目とおいしさで、体調不良のときでも食が進むはず。

ー冬に活用したい、漢方 ー

●補陽·温裏·散寒(ほよう・おんり・さんかん)

補陽の陽は、中国の思想である陰陽説の陽。体を温めることを指す。温裏も体を温めることだが、“体の中から”という意味合いが強い。散寒は、体に入ってきた寒さを打ち消すこと。使いやすい食材では、ねぎ、しそ、にら、生姜をはじめ、えびやまぐろなど。

●補腎(ほじん)

冬は水分代謝のほとんどを腎臓に頼るため、酷使するぶん、傷みやすい。そもそも腎臓は冷えに弱い臓器でもあるので、とくに冬はしっかり労ってあげること。キャベツ、ごぼう、長芋、クローブなどを摂取。

●補気(ほき)

気には、寒さから体を守る働きがあるため、冬はとくに気が消耗してしまう。気が足りなくなると、風邪をひきやすい状態に。それを避けるべく、気を補うためには、タラや豚肉、味噌などを取り入れること。

●理気・活血(りき・かっけつ)

この言葉が意味するのは、気と血の巡りをよくすること。冬の寒さで体が冷えると気血の巡りが滞り、肩こりや疲れなど不調をきたしがち。巡りの悪化がさらなる冷えを引き起こすことも。しそやお酢などで巡りを促進。

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