薬膳は、体によさそうではあるものの、「難しい」「特別な材料が必要」と思っている人もいるのでは。しかし、ちづかみゆきさんが提案するのは、身近な食材でできる薬膳料理。
「食材が持つ働きや、食材同士の組み合わせ、調理法による効果を知れば、スーパーで手に入るいつもの材料を薬膳料理に発展させることができます。薬膳には、体を温める、冷やすといった効能がありますが、取り入れ方としては、足りないものは補い、余分なものは排出するなど体調に合わせるのが基本です。病気の治療というより、予防を重視しています。今回、生薬と呼ばれる食材も使いますが、いわゆる薬膳で思い浮かべられるような入手しにくいものではなく、ねぎや生姜など、普段使いの食材であり、生薬でもあるものです。簡単に、おいしく作れます」
冬はなんといっても気温の低下による不調が心配。薬膳で退けるには?
「まずは冷え対策として、体を温めること。中医学でいう『補陽(ほよう)』『温裏(おんり)』『散寒(さんかん)』などの、体を温める食材を、温かい料理にして食べましょう。そして、『補気(ほき)』。“気”には体を温め風邪などに対するバリア機能を強化する役割があります。特に冬は、積極的に食事で補っていきたいですね。寒さによって気や血の巡りも滞りやすくなるので、『理気(りき)』『活血(かっけつ)』で巡りを促します。さらに、冬はあまり汗をかかず、水分代謝を腎臓に頼りやすいため、腎臓を労る『補腎(ほじん)』も必要です」
これらの心がけに基づく「体の地力を上げる常備菜」で冬を元気に乗り切る基礎を作り、一方で、風邪の症状が出始めてしまった際には、「ひき始めの風邪に対処するレシピ」で早めに養生を。どれも薬膳のイメージを覆す見た目とおいしさで、体調不良のときでも食が進むはず。