〈入浴〉タイミングや温度など、工夫次第で不調改善の強力な味方に。
撮影・中島慶子(尾野さん)、黒川ひろみ(商品) イラストレーション・山中玲奈 文・嶌 陽子
Q.何度のお湯に 何分つかるのが理想?
入浴時のお湯の温度の大事な目安となるのが40度だ。
「40度以下のお湯だと副交感神経が優位になりリラックスモードに、40度より高いと交感神経が優位になり、覚醒モードになると言わ蝣れています。夜ぐっすり眠るためには、40度、もしくはそれより少しぬるめのお湯に肩まで10〜15分つかるのがおすすめです」
なぜ、湯船に肩までつかったほうがいいのだろうか。
「体全体を温めることで血の巡りがよくなるのです。また、お湯の浮力によって、いつもは体を支えている筋肉などへの負荷がかからず、全身がリラックスします」
理想の入浴時間は約10分だが、こだわりすぎなくても大丈夫。
「途中で体を洗ったりしながら合計10分でもいいですし、たとえ10分未満でも、全くつからないよりは効果があります」
Q.入浴剤はどのように 選べばいいでしょう?
「入浴剤には、体の症状への効果を記載できる“医薬部外品”、化粧品としての効果を記載できる“浴用化粧料”、効能効果を記載できない“雑貨”の3種類があります。パッケージの表示を見て、目的に合ったものを選びましょう」
更年期前後の不調解消におすすめなのが、血行促進が期待できる炭酸入り入浴剤と、硫酸マグネシウムの結晶・エプソムソルトだ。
「ストレスによる体内のマグネシウム不足は、骨粗しょう症や高血圧、イライラの原因になると言われています。エプソムソルトでマグネシウムを補給できます」
香りでリラックスしたいときは、
「塩ひとつかみに好きなアロマオイルを10滴ほど垂らすだけで、手軽に手作り入浴剤が作れます」
毎日、特に意識せず行っている入浴と睡眠。でも実は、良質な睡眠と入浴は切り離せない関係にあると、尾野真美子さんは話す。
「睡眠にとって何より大切なのは、量よりも質。深く眠ると、その間に成長ホルモンが分泌されたり、新陳代謝が活性化されたり、新しく血液が作られたりして、体がととのえられるのです。では、深く眠るためにはどうすればいいか。それには寝る前に副交感神経を優位にすること、つまり体をリラックスモードにすることが必要です。適切な入浴時間と温度、タイミングを守れば、入浴は“リラックススイッチ”を入れる最適な手段になります」
また、入浴自体にも、体内の血の巡りをよくする働きがある。
「血流がよいと、体内に酸素や栄養が行き渡り、老廃物も回収できます。これがうまくできないと頭痛や生理痛などの不調につながるのです」
体をきちんと休ませることと、血の巡りをよくすること。この2つが、特に更年期前後には健やかな毎日の基盤になる。入浴と睡眠、それぞれのコツを知って、不調知らずの体を作ろう。
尾野真美子(おの・まみこ)さん●ホリスティックビューティエキスパート。美は高いレベルの健康、と考えるNPO法人日本ホリスティックビューティ協会所属。働く女性や母親向けの講座を多数開催している。
『クロワッサン』1006号より