からだ

すべてのカギを握る存在、“女性ホルモン”の基礎知識。【前編】

  • 撮影・青木和義 ヘア&メイク・山田久美子 イラストレーション・イオクサツキ 文・小沢緑子
妊娠、出産を助けるための効果が強いホルモンだから、女性の体もしっかりカバーしてくれる。

月経、排卵回数が増えたことで、婦人科系の病気が増えている。

吉川 経験上、体が弱くなったなと実感したのは50歳が境目だったように感じています。

対馬 50歳という年齢は、戦前の女性だと閉経し、寿命が尽きる頃。女性の体のしくみは今も昔も変わらず、閉経時期は同じ50歳前後なのに、現代女性のライフスタイルはすっかり昔とは変わった。仕事を持ち晩婚になり、一生のうちに妊娠、出産する回数が劇的に少なくなった。

吉川 昔のように1人の女性が5人、10人と子どもを産むことは珍しくなりましたものね。

対馬 妊娠、出産する機会が多い昔の女性が一生のうちに経験した月経と排卵回数は約50回といわれています。たとえば子どもを10人産んだとしたら、無月経、無排卵の時期はのべ約20年間。対して今の女性が1人しか産まなかったら、無月経、無排卵で子宮や卵巣がお休みできる時期は約2年間。今の女性は昔の女性と比べると月経と排卵回数は約10倍に増え、一生に約500回経験しているといわれています。

吉川 月経周期の中で月経だけが大イベントのように思われがちですが、排卵も一大イベントですよね。

対馬 卵巣の中で成熟した卵胞が、卵巣の皮をバシッと突き破って外に押し出されるのが排卵。実は月経同様、女性の体に負担がかかります。

吉川 たくさんの排卵、月経を繰り返すことの弊害はあるのですか?

対馬 今の20代から40代には子宮内膜症や子宮筋腫が増えています。卵巣腫瘍や卵巣がんも。授乳回数も少ないので、乳がんの発症率も上昇していますね。

吉川 現代の女性は仕事も家事も育児もして、社会でもさまざまなプレッシャーにさらされている……。できるだけ更年期を楽に快適に過ごすためにも、早めに対策を立てたほうがいいですよね。

対馬 先に言ったように女性の閉経時期は昔と変わらず50歳前後ですが、今の女性は平均寿命が延びたことで、閉経後の人生がずいぶん長くなりました。

吉川 日本人女性の平均寿命は約87歳とか。50歳で閉経したら、40年近くありますね。

対馬 数十年後には平均寿命は100歳を超えるといわれています。今の30代、40代、そして50代の女性も更年期だけでなく、閉経後に長く続く人生の健康寿命をどう延ばしていけばいいか、今から考えておいたほうがいい。そのためにも女性ホルモンの知識は得ておいたほうがいいと思います。

肌も骨も血管も関節も、 守られているのですね。(吉川千明さん)
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